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ロイ――新世界を刻む者
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ロイ――新世界を刻む者 36


悲鳴の元にいち早く駆けつけたのはシャングリラとラファエル。

そして悲鳴の主はリュックであった。

そのリュック…大蛇の様な蔦に胴や肢股を絡みとられ宙に吊り上げられていた。

そのリュックを救おうとゴッコ司祭が持っていた杖でその蔦を打ちすえている。

「司祭!!」

シャングリラがゴッコ司祭の横に並び立った。

「こらぁぁぁ!」

自前の武器を馬車に置いてきてしまったラファエルが素手でその蔦の根本に掴みかかってゆく。


人の胴回り程もある牡丹の様な花。
その血の色をした大輪の花の下に無数の蔦がウネウネとうねっている。

その花に掴み掛かっていったラファエルはぶっとい蔦に簡単に弾き飛ばされてしまった。

「ラフィ!」

「大丈夫ですか!?」

心配げなシャングリラとゴッコ…しかし次から次と襲いくる蔦の為。
近づく事はおろか…後退を余儀なくされていた。

「うっ!うわぁぁぁ!」

足首を蔦に絡めとられたラファエル。
その身体もまた逆さのまま宙へと吊り上げられてしまった。

「二人を放しなさいよぉ!」

いつになく険しい顔のシャングリラが印を結び始める。

「シャングリラさん!こんな所で貴女の魔法は!」

ゴッコは当然の心配を口にする。

「わかってます!司祭…力をセーブします。
そう…メラくらい!」

「メラ?メラって何ですか?」

蔦をかわしながら首を傾げるゴッコを尻目にシャングリラが呪文の詠唱を始めた。

「いけぇぇぇ!」

飛びずさって蔦をかわしたシャングリラが両手を巨大植物の方に突き出した。

その手の間から小さな火の玉が放たれる。

吸い込まれる様に飛んでゆく火の玉が毒々しい花弁にぶち当たった…が。

「効いてませんよ!シャングリラさん」

必死で蔦をかわし続けるゴッコ。

「困りました…やっぱりパワーを上げるしか…」

シャングリラの息は若干上がってきている。

その時だった。

「どけ!どけぇぇぇ!」

黒い影がシャングリラとゴッコの頭上を飛び越えていった。

ズサッ!

低い体勢に構えたデラが猫の様な敏捷性で巨大植物の前に踊り出た。

「デ…ラ…」

「デラさぁん!」

「デラァァァ!」

「おお…デ・ラ・クルスさん!」

こんな場面で一番頼りになる人物の登場に…その場にいる全員が色めき立った。

「うらぁ!おらぁぁぁ!」
全員の期待を一身に背負ったデラ。
鬼神の勢いで巨大植物に斬り掛かってゆく。

「やろー!このやろー!このやろー!」

全ての蔦を切り落とすかの様に何度も剣を振り下ろすデラ。

ドサッ!

「ててっ…」

いましめが解けラファエルが地面に落下した。

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