ロイ――新世界を刻む者 16
シャングリラは棚から眼鏡を取ると…再びその目にかけ直す。
そして自分が素っ裸である事も忘れてスタスタとラファエルに近づいていった。
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
どうしていいのか判らなくなったラファエルは震えたまま謝り続けている。
「可愛いラフィ…怖がらないで…」
シャングリラはニッコリと微笑むとしゃがみ込んだラファエルの耳をツンツンと突付いた。
「ラフィの耳・・なんだか優しそう。」
ラファエルは顔を上げた。
彼の前に素っ裸で膝をついて、シャングリラの悩ましい裸体が何も隠さずに存在していた。
十分すぎるほど大きく、それでいて乳輪の小さな美しい胸も、折れそうなほど細くくびれた腰も、生まれつき薄いのだろう、申し訳程度にしか陰毛が生えていない陰部も。
すべてがラファエルの目に入り、ラファエルは興奮と同時に混乱した。
「シャ…シャングリラさんお願い…僕が獣人だって事みんなには黙っていて」
ラファエルは可哀想になるくらい震え…戸惑っている。
「君がそう願うなら…私は黙っているわ」
シャングリラは優しくラファエルの頭を撫で続ける。
そして…。
「でも…どうして?」
「だって…獣人だって判ったら…みんなに嫌われちゃうよ」
シャングリラはラファエルの言葉に胸が締め付けられる思いだった。
「ラフィ…さぁ立ちなさい」
シャングリラの言葉にラファエルはオドオドと立ち上がった。
シャングリラは眼鏡越しの瞳に優しい微笑みをたたえてラファエルを見つめる。
「ラフィ…誰も君を嫌ったりしないから」
シャングリラの言葉にラファエルは泣きそうな顔でコクンと頷く。
「万が一、そんな事があったら…その時は私が君を守るから」
顔をクシャクシャにしたラファエルは嬉しさに瞳を滲ませながらシャングリラに抱きついた。
「あぁ…ラフィ…」
シャングリラも瞳を閉じてしっかりとラファエルを受けとめる。
「シャ…んぐっ…」
何かを言いかけたラファエルの口をシャングリラの唇が塞いだ。
ラファエルは瞳を閉じてシャングリラの柔らかい唇を感じる。
二人は唇で…そして指先でお互いの身体を感じ合い始めていた。
唇をずらし…頬と頬を摺り寄せる二人。
「ラフィ…可愛いラフィ…愛してるわ…」
シャングリラが甘く囁く。