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ロイ――新世界を刻む者
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ロイ――新世界を刻む者 14


それから数日…。

ラファエルとシャングリラは日に日にその数を増やす海鳥たちにパン屑を与え。

ゴッゴ司祭は誰彼となく主の教えを説いて周り。

ロイの服をちゃっかり着込んだデラは、船倉で見つけた錆びた銅の剣を砥ぎ澄まし。

ロイは相変わらず甲板でラム酒を流し込む。

一行は束の間の平穏とした時を貪っていた。

「少し…お話しない?」

剣を砥ぎ続けるデラにシャングリラが話しかけてきた。

「どうした?」

デラが剣を研ぐ手を止めた。

「ロイとはどうなのかな?って」

「アタシか!アタシが何だって!」

シャングリラの言葉にデラは面食らった様な表情で答える。

「だって…それ…ロイの服でしょ」

「これは…あんたの服じゃあサイズが合わないからな」

デラは苦笑を浮かべながらシャングリラの胸元を見上げる。

「まぁね…私の武器ですから」

シャングリラが少女の様なあどけない笑顔で答えた。

「そう言うアンタはどうなんだい?あの坊や…狙ってんじゃないのか?」

デラは海鳥と戯れているラファエルを顎で指した。

「可愛いけど…まだ子供だし…」

シャングリラの顔が真っ赤になった。

「子供なもんか…十五、六っていやぁ…立派な男だぜ」

「でも…」

赤い顔で口篭るシャングリラ。

「まどろっこしい奴だな!欲しけりゃ奪い取れ!」

デラにしては珍しいまでの笑顔であった。
見ていたシャングリラも釣られて笑いだす…そんな笑顔であった。




「楽しそうだなラファエル。」

「あっ!ロイさん」

海鳥と戯れるラファエルの所に酒瓶を持ったロイがやって来た。

「ロイさん、新世界まで後どれ位ですかね?」

「このまま嵐や海賊に出会さなければ……二、三日で着くな」

当初ははしゃいでいた船旅にも少し飽きがきたのか、ラファエルは潮風を胸一杯に吸い込むとロイに訊ねる。
三歩ほど距離をとって甲板の手すりに身を預けて、ロイは数えるようにして答えた。
今朝、船長から直々に言われたのだから間違いはないのだろうが、獣人の少年は不満そうだ。

「……三日、ですか」

「なんだ?飽きたのか?――まぁ、飽きもするか」

「はい、少し……」

ラファエルは、はにかんで答えた。
ロイは酒で喉を潤すと続ける。

「――他には困っていることは、ないか?」

「えっ?いえ……まぁ、特には――」

本当はレポート用紙を手に詰め寄るシャングリラや、常に他の司祭たちとは距離を取って一人でいるブレンダンなどには気がかかっていたのだが、まぁ、ロイに言うことではない。

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