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ロイ――新世界を刻む者
官能リレー小説 - ファンタジー系

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ロイ――新世界を刻む者 12


「礼など言うつもりもない!それよりアンタ…『新世界』に行くんだろ…」

ロイは黙って女を見据えた。
今回の旅は別に極秘でも何でもない。 
女が知っていたとして何の不思議も無かった。

「ああ…」

ロイはニコリともせずに答えた。

「アタシも連れてきな!」

「測量士には見えないが」

「用心棒がいるだろ!」

女の腕前は問うまでもないだろう。
しかし…何故?見たところは若い女だ。

「何故だ?何故連れていかねばならんのだ?」

「金だ…」

女は悪びれる事なく言った。

「金!?」

「『新世界』には莫大なお宝が眠ってんだろ…」

「さあな…誰も知らない世界だ。それに目的は宝なんかじゃない…」

微かに呆れた様な笑みをロイの口元に浮かんだ。


「ここにいても拉致があかないね。あんたの部屋に案内させておくれ。」

「ふっ厚かましい女だが、仕方ない付いて来い。」

女はロイに部屋へ案内しろと頼む女の何様的な態度にロイは苦笑しながら部屋へ案内する。

「所でお前の名前をまだ、聞いてなかったな。」

部屋へ行く途中ロイは女に名前は何なのか訊ねる。


「あたし?あたしの名前はデ・ラ・クルス。デラでいいよ」

「ふぅん……歳は?」

「女に歳を聞くんだ?なってないね」

「…………。いまからでも船長に突き出しても遅くはない――か」

「わ、分かったよ。二十八!二十八歳だっ!――ったく、優男前としてるくせに、良い性格してる……」

デラの恨みがましい視線にクツクツとロイは笑った。

「よく言われる。特に義兄などにはよく、ね」

「ふんっ……」

そこでようやく、ロイの船室に着いた。
ロイはこの船内では船長、三十三司祭に継ぐ要人である。
そのため、ラファエルやシャングリラの船室の三倍もの広さのソレの、蝋燭ではなく魔導照明を設えた部屋があてがわれていた。
もちろん、机、椅子、ベッドも完備してある。

「へぇ〜……さっすが、測量士のロイ様だ。いい部屋だね」

室内へと視線を巡らせたデラは感心したように漏らす。

「測量士みんながみんな、こんな部屋なわけではないが」

「それだけ、アンタが重宝されてるってことだろ?ふふんっ、やっぱり、あたしは引きがいいよ」

「なんの話しだ?」

「カードだよ。やんないのかい?」

「ギャンブルか――」

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