中出し帝国 60
ルルは礼を述べると、シエラは頷いた。
「いえ、一武士としての心得に従ったままです。」
(しかし…何故ルル殿は、牢屋にあのような格好で失神しておられたのだろうか…)
さすがに、聞きづらかったのかもしれない。肌寒い牢屋の中、はだけた服で女性器をさらけ出したまま倒れていた理由を尋ねるのは。
「うん、そうね。それじゃ…」
ルルはシエラの部屋から出ると、自身の部屋へと向かう。
(……げ)
しかし、途中でレフノルデを発見してしまった。
ルルの姿を確認するなり、これはまた嬉しそうな顔に。
「これは姫様!お部屋にいる二人の淫らさには目から鱗が落ちましたわ!いやはや、レーセはもとよりイリスもあそこまでイヤらしいとは!日がずれていれば、迷わず我が隊で輪姦していたものを!」
一人で勝手に論説するレフノルデ。自身の思いを切実に口に出してはいるが、ルルにとってはただ耳にタンコブが出来るだけだった。
(あーそーですか…)
「それはお悔やみ申し上げますわ。私、その二人に用がありますので、これで失礼致しますわ。」
内面では悪態をつきながらも笑顔で応対する。本音と建前の区別ははっきりつけているようだ。
ルルが何故、こうもここの男性に敬語を使う理由は、男尊女卑が成されているからに他ならない。
しかし、だからとは言え何でもかんでも男性優遇なのかと敢えて語るならば、多少語弊は存在するのだが。
「承知致しました!お供したいのは山々ですが、なにぶんカイト達の見回り当番が来た為にご同行出来ません。」
レフノルデは妙に残念がる。同情でも誘いたいのだろうか。
(あーそーですか。)
「…では、子供達によろしくお伝え下さいませ。」
内面ではさも面倒そうな言語を吐き出しながら、笑顔で手を振った。
カイト達…というのは子供の名前だ。基本、あのような法律があるせいで子供の父親が誰なのか分からない為、まさに当番制で子供のお守りをするのである。
実際、この国の兵士は狼藉者をひっ捕らえるか接合令で女性達を輪姦するかぐらいしかすることが無い。
否、訓練所で自身を鍛える者も確かにいるにはいるのだが、そんなのはほんの一握りくらいなものだった。
大体の兵士は国の子供とだべりに行って暇を潰すか、売国奴の人達をヴァクトールの指示通りに女性を連行する。
その他は、ルルの意向に従うだけだった。