中出し帝国 50
それを見兼ねてか、生き残りの真っ裸兵士が数人、部屋からの脱走を試みていた。
しかし……。
「ちょっと、そこの貴方達。」
捕まった。
「私に、この騒動の首謀犯の名前を教えて頂けないでしょうか♪」
…ここで今、まさかの貴族スマイル発動。
「は…はいィィッ!」
真っ裸野郎は恐怖の余り、怯えた言動を吐く。
対し、ルルは首を可愛いらしげに傾ける。
「…あら、どうなさいました?そんなに怯えて。まぁお可哀相に。正直に答えてくだされば、何もしませんわよ?」
「りょっ、了解しました!姫様!…首謀犯はイリスちゃんです!」
萎えきったペニスを股間からぶら下げた裸兵士は、おもむろに白状した。
「…で?接合令ではない今日に、私の部屋を男の方の臭いで充満させる理由は、いったい何なのでしょう?」
が、ルルは容赦なく突きつめる。表情は健やかなほど笑顔だが、内面はどうなのかは分からない。
「も、もも申し訳ありません!姫様っ!縛られた状態のレーセを見たら、どんどん理性が無くなってゆくような錯覚が起きてしまい……申し訳ございません!」
かなり言い訳臭いが、謝る気持ちはよく伝わった。保身のために謝る姿が、だが。
「そうでしたか。いえ、…多少きつめに縛ったものですから、どんな殿方でも伽を始めてしまいますわよね?…私も至らない点がありましたわ。どうかお気になされずに。」
視線をレーセに移すと、裸兵士は解放されたと思い、ドアに押し潰された、もといドアの下敷きになった同志を助けるべく虎子奮闘する。
ルルの目がこちらを捉えたのに気づくと、謝罪をする。
「そ、その姫様…さっきの発言は、申し訳ありませんでした…」
「何かしら?とぉ〜〜っても清楚で、頭の良いレーセちゃん?」
機嫌を直して貰う為に謝ったのだが、逆効果だった。なので、話題を反らそうと脳内を駆け巡させるレーセは、この場から逃れる策を頭の中から引っ張り出す。
「うぅ……そ、そうです姫様!姫様にクラウちゃ………いえ、昨日クラウ様が、あの場所で大事な話があるとおっしゃられておりました。早めに行かれてはどうでしょうか?」
レーセの必死の提案に、ルルはぴくりと片眉を動かしただけであった。
ぷるぷると身体を震わせるレーセを見下しながら、ルルは静かに腕を組んだ。
「あら、そう。何用かは存じませんけど、此方の“用が済んだ後”伺いますわ」
恐怖からの解放が遠退き、レーセは口から魂のようなものを出しながら項垂れる。
ルルから立ち込める異様な殺気に、周りの兵士達も動く事が出来ないで居た。
そんな彼等を、ルルが一瞥する。
「そこで固まってる者達。ここにイリスを連れて来ていただけるかしら?」