ダンジョン王の日記 29
魔法剣、それは人間には無い技術により作られた神秘を秘めた剣である
効果は剣毎に千差万別だが、奴の聖剣もまた魔法剣であり、一番オーソドックスな射程延長なのだろう
しかし魔法剣の発動は即ち必殺技である。常人には命を削る程の魔力を吸われ初めて発動できる物も少なくない
だが奴は怪我をして横たわる我が配下の魔物や亡骸となった者達の前で、疲れがないかのように堂々とした様で立ち
剣の腹で自らの肩をトントンと叩き、挑発してくる
そして仲間の元へと走っていった。
ここまでコケにされては私も黙っている訳にはいかない
私は比較的怪我の少ない者に仲間の手当てを命令し、奴らの後を追った
配下の魔物達は私を止めようと駆け寄ったが、私から漏れだしたまがまがしい魔力を前に近付ける者はいなかった
敵はどうやら牢獄で何かをやっているらしい。何かは妨害魔法で見ることが出来なかったが、広い牢獄のスペースでやることなど限られてくる。
途中、道のあちこちに前まで無かった蜘蛛の糸のような物が張り巡らされていて
それを張り巡らしたと思われる優男が薄ら笑いで挑発してきたが、私はそいつが偽物と直ぐに看破し本物をあっさりと斬り伏せた。
罠ならもうちょっとマシなもんなかったのか?
大牢獄へ入る前の道には大牢獄から逃げ出した冒険者達が手に武器を持ち、私に襲いかかってきた。
あの優男も解錠の才能は認めてあげなければならないかも知れない
意外と連携の取れた動きで私に切りかかってくるが、私はそれを冷静に捌き、一人一人確実に殺していく
そして私は大牢獄の入り口へと入っていった。
大牢獄の鉄格子に背中を預け、待ってましたとばかりに剣を抜くガジル
大牢獄の中では魔法使いがせっせと魔法陣を書いている。あれは見たところ転移の術式…はっきり定員は3人の術式だったため、外の冒険者達は始めから捨て駒だったのだろう。まぁ騙される奴が悪い
そして驚いたのは、気絶し縛られ横にされているシェルリエと明らかに絶命をしている大蛇が居たことだった。
どういう経緯でこんな事になっているかは解らない。だが、あの大蛇が怪我をおしてガジルに挑みかかり、そして…敗れたのだ。
その光景にどこか心が荒れていくのを感じ、私は奴に斬りかかっていた。
魔力を帯びた剣と剣の衝突でバリバリと火花が舞う、奴も私を前に魔力を温存する気はないようだ
いつでも魔法剣を発動できるように魔法剣に魔力を込め待機している
魔力を帯びた剣と剣の衝突でバリバリと火花が舞う、奴も私を前に魔力を温存する気はないようだ
いつでも魔法剣を発動できるように魔法剣に魔力を込め待機している