5大聖龍とその女達 65
助けに入ろうとしたが、ウルゥは魔法でモンスターを撃退。
といってもウルゥの倒したモンスターは山では頻繁に出るが、弱い部類に入る。
もちろんアレスにとっては雑魚同然だが、ウルゥはそんなことも知らず大喜びしていた。
「え、えっと……え〜と、あれ?」
何とかして旅に同行させてもらおうと必死に自分をアピールするウルゥだが、アレスにことごとくかわされてしまった。
ウルゥにとってはアレスを驚かせようとしているようだが、素っ気無い返事で返される。
さらに言いたいことが無くなってしまい、ついにウルゥは黙り込んでしまった。
「・・・・・・」
何か言わなきゃと、頭の中で何を言おうかと考えるも何も浮かんでこない。
ウルゥはその場に倒れこんで泣き出した。
「んぐ、ひぐっ……ううっ」
アレスはそんなウルゥの姿をただ黙ってみているしかなった。
出来ることならウルゥを連れて行きたい、魔物がウルゥの中にいる以上、傍でウルゥを守ってあげたい。
だが旅には危険は付き物。
ラムサはたとえ敵との戦闘になっても一人で切り抜けられるだろう。
しかしウルゥはまだ戦闘に関しては素人だ。
山でモンスターを倒したとしても、この前はたまたま弱い敵だっただけで、旅をしていけばいずれ強敵とも会い見えるだろう。
そうなったときウルゥに危険が及んでしまう。
そうならない為にアレスはウルゥを村に残したのだ。
もちろんウルゥだけでなく、マリーやエリアもだ。
そしてアレスは一歩一歩ウルゥに近づき、「すぐ帰ってくるから」と言い残し、去っていく。
「っ!!」
泣いている場合じゃない、何か言わなきゃ!
このままじゃアレス君、行っちゃうよ。
ウルゥは最後の力を振り絞って、アレスに気持ちを伝えようとする。
だが言葉よりも先に身体が動いてしまった。
ガシッ!!
「うぉっ!!」
多分抱きついたウルゥは今の状況が分かっていないだろう。
普段から内気であまり目立つタイプでもなく、アレスたちといるときも前に出ることはあまりない。
ただそれだけ必死だったのだろう。
離したら行っちゃうかもしれない、そう思いながらウルゥはアレスを強く抱きしめる。
「い、行かないで下さいっ!!」
「……ウルゥ、分かってくれ。俺はお前を危険な目に逢わせたくないんだ」
「アレス君ならそう言うと思ったよ」
「だったら……」
「でも……わたし、わたしだって!いつもアレス君に守ってもらってばかりで……だから…魔法覚えて、エリアに治癒魔法教えてもらって、少しでも、アレス君の役に立とうって……」
「……」
「もう守ってもらうのは嫌、今度は…今度はわたしが、アレス君を……ぐすんっ」
ウルゥは堪らず、その場に泣き崩れた。
アレスはやるせない気持ちでいっぱいだった。
連れて行きたいが、ウルゥにはあいつが…と何度も頭の中を魔物ウルゥがよぎる。
アレスはそっとラムサの方を見る。