5大聖龍とその女達 41
ドスッ!ゴウッ!
突然精霊が燃え上がり、どこからか飛んできた1本の矢がキラービーの身体を正確に射抜いた。
「アレスッ!大丈夫かっ!?」
「マリーかっ!?助かっ・・・げっ!?」
聞き覚えの声に顔を上げた瞬間、アレスは安堵の表情から信じられないようなものを見る目つきに変わった。
アレスだけではない。
村人たちまで救いの主を見た瞬間にその動きを硬直させた。
「大丈夫ですか、アレスさんっ!?」
「アレスっ!無事かッ!?」
そこにいたのは弓矢を構えたメイドさんと、杖を構えたバニーさん。
彼らの目が正常なら、あの2人は間違いなくマリーとウルゥその人だった。
しかしこの命のやり取りをしているさなか、あんなふざけた格好で来るとは思ってもいなかったアレスたちの脳は、その事実を簡単に受け入れることができなかった。
そしてそれは魔物たちに絶好の反撃のチャンスを与えてしまう。
「しまっ・・・!?」
気づいたアレスたちは慌てて応戦しようとするが説きすでに遅く、もうどんな対処も間に合わない。
こんなくだらないミスで死ぬのか――?
アレスが死を覚悟したその時!
ズバッ!ドシュッ!
しかしいち早くアレスの危機に気づいた2つの影が、魔物たちを切り刻む。
思わぬ反撃に浮き足立ったそのスキを突いて、2つの影はそのまま魔物たちに斬りかかる。
「不埒な魔物どもめ!我の夫に手にかけようとは許せんっ!
命を持って償うがいい!」
「あははっ♪間一髪ってところだったね、アレスちゃん!?」
アレスの窮地を救った2つの影。
それは体育着姿(ブルマver.)のラムサとお嬢様ルックのエリアであった。
彼女たちは魔物たちが体制を整えたのを察知すると、いったん追撃をやめてアレスの元に駆け寄る。
「たわけっ!何を呆けておるかッ!?
我の夫ともあろうものが、あれしきの雑魚を相手にやられるでない!!」
「あはは・・・。まぁ、ラムサちゃんの戯言はさておいて。
いくら格下の魔物が相手とは言え、油断は感心しないかぁ?」
ショック状態にまたもや信じられないことが起こったおかげで、何とか正気に返ったアレスは、硬直した村人たちを代表して2人の頭を小突いた。
ガンッ!ゴンッ!
「あうっ!?」
「痛ッ!?な、何をするか、このたわけ者!?」
「たわけはおまえらだ、バカ野郎ども!
命のかかったこの緊急事態になんっつー格好でできて・・・あだッ!?」
すると背後からいきなり投げられた石がアレスの後頭部にヒットする。
「や、やかましいッ!
せっかく助けてやったんだから文句を言うなッ!?」