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5大聖龍とその女達
官能リレー小説 - ファンタジー系

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5大聖龍とその女達 37

家の外ではすでに村人の避難と魔物の迎撃の準備で騒然となっている。
戦う力のないものは倉庫の下の地下室へ。
きこりや猟師などの戦士は魔物の迎撃ポイントへとひた走る。
アレスも近くの猟師から敵の居場所を聞き出し、そちらに向かう。
向かう先は村の北側。もっとも魔物が出現しやすいとされる森に覆われた山岳エリアであった。

――――

現場ではすでに村の屈強な男たちや魔法の心得のあるものが迎撃の準備を整えていた。
今は亡きアレスの両親、アークライトとイリヤが命を賭して遺してくれた教えと形見の賜物であった。
実はこの村、一見無防備に見えるが、そこかしこに両親が遺していった品々によって守られている。
例えば村を囲う木製の柵。
これには聖水を染み込ませた木材で作られており、邪悪な魔物は簡単に侵入できない仕組みになっている。
村人は柵の内側から攻撃できても、魔物は手も足も出ないわけだ。
今は亡き村の英雄は、死してなおもこうして村人たちを守り続けている。

「状況は!?」

そんな中、アレスは迎撃の準備を済ませた村人から詳しい情報を聞き出す。
それによると今回襲ってきた魔物は複数。
それも今までにないほどの数と種類がいたらしい。
それを聞いて、アレスは苦虫を噛んだような表情を浮かべる。
普通、魔物は似た種類の魔物と群れを成すことはあっても、異なる種類の魔物と群れを作ることはまれだ。
ましてこの辺境の魔物がそれが村を襲うなどありえない。
やはり魔王のせいで活発化しているようだった。

(・・・くそっ!思った以上に厄介な事態になってやがる!
 早く魔王を何とかしないと、父さんたちが命を賭けて守ろうとしたこの村がっ・・・!)

アレスが決意を新たにしていたその時だ。
目の前の茂みからがさごそと不穏な音が聞こえてきた。
否応なしに高まる緊張。
そしてわずかな時をおいて、茂みの中から不穏な音の主が姿を現した。

「――ッ!」

出てきたのは大きなイノシシ。
それも1頭だけではない。複数のイノシシが別の魔物と一緒に姿を現す。
出てきたのはイノシシの他に樹木の怪物トレントやキラービー、ワイルドベア、狂った風の精霊までいる。
そして最後に出てきたのは明らかにリーダー格と思われるモンスター。
それは全身傷だらけで、他のイノシシより1回り以上大きいイノシシ。
全身赤黒い獣毛で覆われ、背中には棍棒を携えた笑顔の仮面をかぶった小さな魔物が乗っていた。

「ぼ、ボアライダー・・・!」

村人から驚きの声が上がる。無理もない。

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