5大聖龍とその女達 33
「思えば、あの二人がいなければこの村はとうに滅びていた。お前の両親は今でもこの村の英雄じゃ」
現在は村の中央にクルカ村を救った英雄としてアークライトとイリヤの像が建てられている。
またアークライトと共に闘った村人の名もそこに刻まれている。
「だが俺は何も出来なかった。俺にもっと力があれば…と今でも思うよ」
「そう謙遜するな。お前は紛れもなく、アークライトとイリヤの子じゃ。あいつらの意志はしっかりと受け継いでおる」
「・・・・・」
「アーレースーッ!!」
どこからかアレスを呼ぶ声が聞こえてきた。
ドタドタと走る音が聞こえ、徐々にその音も大きくなり、アレスのいる部屋のドアが開く。
ガチャッ
「アレス!会いたかったぞ!!」
「うおっ!」
部屋に入るや否やいきなりアレスに抱きついてきたのはラムサだった。
ラムサの後に続いて、エリア、マリー、ウルゥもぞろぞろと入ってくる。
「ラムサ、お前今までどこ行ってたんだ!?」
「こいつらと一緒に雑貨屋で衣服を選んでたんだが、なかなか決まらなくてな」
よく見るとラムサ以外の3人は紙袋を持っていた。
どうやら、あの中にラムサの服があるらしい。
「実を言うと、私たちだけじゃ決まらないから、アレスに決めてもらおうかと思ってきたんだけど、ダメ?」
「俺なんかよりラムサに決めさせればいいんじゃないのか?こいつの服なんだからさ」
「でもこいつ、自分の着たい服言わなくてな。だからあたしたちで選んでたんだけど、選ぶたびにケチつけてさ……」
「だから、アレス君が選んだ服ならラムサさんも着てくれるんじゃないかと思ったんだけど……」
3人の意見を聞き、アレスは決断する。
「まあ、そういうことなら……」
「やった!そうと決まれば……」
「うわっ、何じゃ!」
「村長はダメ、少しの間この部屋貸して下さいね」
そう言い残し、クラスコフは部屋を追い出された。
クラスコフの顔は残念そうだったのは、誰も気付いていない。
「さあ始めましょうか。と、その前にハイ、これ」
そう言ってエリアは自分の持っていた袋をマリーとウルゥに渡した。
「何だ、これ?」
「何って、二人が着る服よ。どうせなら私たちもと思って」
二人はエリアから渡された袋を開けてみた。
「お、おい!こここれは何だ!」
「あうぅ…こんなの着れないよぉ」
「何が入ってるかは内緒ね♪」
一体袋の中にはどんな服が入っていたのか。
マリーとウルゥは顔を真っ赤にして慌てふためき、ラムサは面倒くさそうに服の入った袋を眺めていた。
「村長!すみませんが隣のお部屋、お借りしますね!?」
「ああ、勝手にするがいい」
「ありがとうございます!それじゃ、みんな行くわよぉ〜♪」
「きゃあっ!?」
「ちょちょっ・・・ちょっと待て!まだ話は終わって・・・!」
「こ、こら!急に押すでない!危ないだろうが!?」