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5大聖龍とその女達
官能リレー小説 - ファンタジー系

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5大聖龍とその女達 32

「アークライトとイリヤが我々のために闘おうとしている。誰でもいい、彼らとともに戦ってくれる者はおらんか」と。
そして集まったのが、数人の剣士と魔法使い。
皆、村のために命をかけて戦おうとしてくれている者ばかりだ。
そしてアレスとの別れの時。

「アレス、帰ったらまた剣術教えてやるから、覚悟しておけ。それからまた釣りにでも連れてってやるからな」

「帰ったらおいしいものたくさん作るから、楽しみに待っていてね。大丈夫、すぐに戻ってくるから、ね?」


「ぐす…お、父さん…お母さん、うぅ…絶対、帰って…ぐす…来て…」

「ああ、約束だ。だからもう泣くな」

そう言って、アークライトはアレスの頭を撫で、その後にイリヤがアレスを優しく抱き寄せる。
そしてゆっくりと離れた。

「じゃあな、アレス、言ってくる」

そう言って仲間の元に向かう二人。
そしてこれがアレスが見た父と母の最期の姿であった。



戦いが始まった……


戦いは序盤からアークライトたちが優勢だった。
前線ではアークライトの剣技で敵を薙ぎ払い、後方からはイリヤの強力な魔法で敵を一気に葬る。
他の村人も2人には及ばぬものの、確実に敵を倒していく。
誰もがこの戦いに勝てると思った。

だが、結果はあまりにも残酷なものだった。

序盤にかなりの体力を消耗し、戦いが長引くに連れて敵からの攻撃を受ける回数が増えていき、倒れていく仲間も出てきた。
しかし敵はさらに数を増し、アークライトたちに襲い掛かる。
それでも、アークライトは傷だらけになりながらも、剣を振るう。
イリヤの方は魔力が限界に達し、持参していた魔力回復アイテムも底を突いた。
最早、絶体絶命な状況だ。

だがこの過酷な状況でまだ諦めていない者がいた。
アークライトとイリヤだ。
二人にはまだ切り札があった。
自らの命と引き換えに強大な力を得る……禁技。
そう、二人は自らを犠牲に村を守ろうというのだ。
二人は呪文を唱え、二人の身体から光が放たれる。
気がつくと辺りは先程までいた大群のモンスターたちが消滅し、そこには戦いの傷跡が辺りに広がっていた。

村人たちは歓喜し、喜びを分かち合う。
だがそこにアークライトとイリヤの姿はなかった。
村人が気付いたときにはすでに二人の姿はなく、あるのは二人の形をした砂の塊。
そして穏やかな風が吹き、二人は灰になり、この世から姿を消した。

このことを残った村人が知ったのはそれからすぐのことだった。
村人全員が涙し、二人の健闘を皆が称えた。
そしてそこにはまだ幼いアレスやマリー、エリア、ウルゥの姿もあった。


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