5大聖龍とその女達 30
もうこの店に入って2、3時間が経過しており、3人もいい加減早く終わってほしかった。
とここでエリアから提案があった。
「ねぇ、もうこの際アレスに選んでもらったらどうかしら?私たちも早くアレスの所に行きたいし、それにアレスがいいって言ったらラムサちゃんもその服を着ると思うの。どうかしら?」
「そうだな、ここにいても埒があかねぇし、その方がいいや」
「わたしも賛成。わたしも早くアレス君に会いたいよぉ〜」
2人は即決でエリアの案に乗った。
「ラムサちゃんはどうする?」
「そ、そうだな。まあアレスがどうしてもというならそれにするが、ちゃんと選べよ!?」
「はいはい。それじゃあ、アレスに喜んでもらえるように服を選びましょ?」
ラムサも納得したようで、3人はまた服を選び始めた。
今度はアレスに判定してもらうため服の選別にも気合が入る。
(う〜ん、アレスが好きそうなのは〜、あ!これなんかいいかも)
(絶対アレスにいいって言わせてやるぜ!そしたら……)
(アレス君、どんなのが好きなのかな?やっぱりこういうのかな)
3人の想いを胸にラムサの服選びは再開された。
ちょうどその頃、アレスはというと、傷の痛みも消え、今ではベッドでゆっくりと寛いでいた。
「ふぅ、やっと治ったか……」
あれからクラスコフの献身的な看病により、思ったよりも早く治ったようだ。
まあアレスの持ち前の回復力も影響しているのだろう。
アレスは辺りをふと見回すと1本の剣を見つけた。
聖剣エクセリオン
ラムサとの死闘(?)の末、勝ち取った剣。
そしてラムサの一族に伝わる秘剣。
白銀に輝く剣はまさに聖剣と名乗るに相応しい。
アレスはエクセリオンに近づき、剣を持ってみた。
(……軽い)
今までいろんな剣を扱ってきたが、これほど軽い剣は初めてだ。
軽いというよりも重さを感じられないほどだ。
今度は横に剣を振ってみた。
ビュッ!
(!!)
なんとただ振っただけなのに、ドアの近くにある棚の上の置物が、カタカタと揺れたのだ。
普通の剣では絶対ありえないことだ。
しかもほんの少ししか力を入れてないのに、この威力。
熟練の剣士でもできるかどうかわからない。
本気でやったらかなりの威力になるだろう。
聖剣の力を目の当たりにしたアレスは、暫し動揺する。
(…俺は、本当にこの剣を扱えられるのか?)
アレスは聖剣を侮っていた。
ラムサの一族に伝わる秘剣だから、多少は凄い剣なのかと思ってはいたが、ここまで凄いとは思わなかった。
改めてラムサの一族の凄さを思い知らされた瞬間であった。
コンコン
(?)
突然ドアからノックのする音が聞こえてきた。
入ってきたのはクラスコフだ。
「おお、アレス。もう身体の具合はもういいのか?」
「ああ、もう大丈夫だ」
「そうか、それはよかった。お、その剣、たしか…お前が持っていた剣じゃないか?」
「ああ、戦利品だ」