5大聖龍とその女達 23
なぜならアレスは先程の傷とその前の傷がまだ完治していないため、痛みが増す状況下にあるからだ。
しかも4人はアレスに引っ付いたまま口論しながら引っ張り合っているため、そのたびに胸が当たり、痛みがさらに増していった。
何とももったいない男だ……
「おい、離れろ!我が先にアレスと行くんだ、邪魔をするな!」
「だめよ、ラムサちゃんはさっきまでアレスと一緒に居たんだから、今度は私!」
「そうだよ、でも最初はわたし!早く手当てしてあげなくちゃ」
「いいや、あたしが最初だ!お前らは後にしろよ!」
4人の口論が飛び交う中、アレスはそろそろ限界を迎えようとしていた。
これだけの胸に囲まれながら、むしゃぶりつかないのもある意味最強かもしれない。
そしてアレスは最後の抵抗をみせた。
「うおおおおおおっ!!!!」
アレスは最後の力を振り絞り、女性陣を跳ね除ける。
「「「「きゃっ(うおっ)!!!!」」」」
4人を跳ね飛ばし、アレスは全速力でその場をあとにした。
「「「「あ、アレス(君)!」」」」
4人はただその姿を見つめることしかできなかった。
「・・・あーあ、逃げられちまった。
ったく、お前らが鼻息荒らしてアレスに詰め寄ったりするからだぞ?」
「何言うのよ、マリーちゃん!
それにがっついてたのはそっちじゃない!?」
「そ・・・そうです、私たちそんなにがっついてませんっ」
マリーの言葉を皮切りに3人娘は激しく言い争う。
ケンカを止める役であるウルゥまでも参加してのケンカは、ここしばらく見られなかった光景である。
しかしそんな3人を止めたのは他でもない、自称許婚のラムサであった。
「全く騒がしいのぅ。
アレスを我に取られたからとは言え、少々見苦しいぞ?」
「なっ・・・!?わ、私たちまだフラれてなんていません!」
「そうよ!大体アレスだってラムサちゃんのこと、許婚だなんて認めてないって言ってたじゃない!?」
「ふん、未通女(おぼこ)がそろってよう言うわ」
その言葉に幼馴染3人がギクリと反応する。
ついでにアレスにベタ惚れとわかって落胆していた若い村人たちにも。
「なっ・・・なんでそんなことわかる!?」
「何を言うておる。汝らの身体から処女特有の青臭い女のにおいがプンプンするではないか。
・・・よいか?そもそも我はアレスと一生を添い遂げるために、魂の契約も果たしておる。
あれほどの男と結婚したいという気持ちはわからなくもない。
だが!汝らが何と言おうと正妻!第一夫人!の座は我のモノだ!」
「・・・っだと、テメー!」
正妻宣言にキレたマリーは怒りに任せてラムサの服の襟元をつかむ。
ボロ布をローブ状にまとっただけの衣服はその衝撃に耐えられず・・・。