5大聖龍とその女達 20
そして我先にとアレスに向かって猛スピードで駆け出した。
「ねぇアレス、私のこと好きよね?私アレスにだったら何でもしてあげるから、私のこと好きって言って、お願い!」
「へ?」
「おいアレス、そんな奴のこと気にすんな!アレスはあたしが好きなんだろ?お前が望むなら何でもしてやるから、だから……」
「あのぉ……」
「アレス君は胸の大きさで人を判断しないよね?ねぇ、わたしじゃだめかな?わたし胸小さいけど、アレス君のために頑張るから、わたしを選んで」
「え〜と……」
アレスが困るのも無理はない。
アレスが倒れてから目覚めるまでアレス争奪戦が繰り広げられていたことなど本人は知る由もない。
しかも自分たちがアレスに傷を負わせたことなど忘れ、自分を一番にしてもらおうと奮闘している。
先ほどの立場とは大違いだ。
「おい、お前らは引っ込んでろよ!」
「それを言うならマリーちゃんよ。これは私とアレスの問題なの!ウルゥちゃんも!」
「嫌っ!わたしだってアレス君好きだもん。ここは引かないよ」
「あのぉ、皆さん?落ち着いて……」
「「「アレス(君)!私(あたし、わたし)のこと好きよね(だよな、ですか)!?」」」
「い、いやぁ……そのぉ……」
3人の怒涛の攻めに全く対応できないアレス。
その時、どこからか大きな笑い声が聞こえてきた。
「ハハハハ、お前たち面白いな。こんなに笑ったのは久しぶりだ、ハハハ」
笑い声はラムサのものだった。
どうやら今の様子を見て、笑いが止まらないらしい。
そして漸く3人がラムサの存在に気づいた瞬間でもあった。
「あっ、てめぇはさっきのガキじゃねぇか!?何しにきやがった!」
「ガキではない、ラムサと先ほど名乗ったろうが!全く学習能力のない奴じゃ」
「なんだとてめぇ!ガキだからって容赦しないぞ!」
「マリーちゃん、そんなにむきにならなくても……」
「そうだよ、それに相手はまだ子供だよ。大人げないよ…」
「で、でもよぉ……」
「はぁ…まあ初めてだから当然か。いいか、我は姿こそこのように幼いが、実年齢はお前たちよりも遥かに高いんだ。だから、我はお前たちより『おとな』なんだ。分かったら早く年上である我を敬え」
3人はラムサの発言に唖然とする。
この子が私たちより年上!?と言わんばかりにラムサの身体を見つめる。
確かに胸だけ見ると、とても子供の胸とは思えないほどの大きさだ。
ちなみにここ、クルカ村にいるラムサくらいの大きさの子供を見ても、ラムサほどの胸を持った子供はいない。
だが言い換えれば、それ以外はいたって普通の子供の姿である。
「冗談だろ?お前みたいにちっさい奴が年上なわけあるか!」
「嘘ではない。なら、そこにいるアレスに聞いてみろ」
「ねぇアレス君、あの子の言ってることって本当なの?」