PiPi's World 投稿小説

5大聖龍とその女達
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 186
 188
の最後へ

5大聖龍とその女達 188


祖父怒りのゲンコツがミラの頭に振り下ろされた。
入り口で控えていたマリーにすら聞こえるほど、強く殴られたミラはそのあまりの痛さと恐怖で盛大に泣き出した。
だが老人は許しはしない。
孫娘の首根っこを引っ掴んでマリーのところまで来ると、あっけにとられる彼女の前で深々と頭を下げた。
泣きわめく不出来な孫も一緒に頭を下げさせながら。

「すまんかった!ワシの教育が甘かったばかりに、アンタにとんでもない迷惑をかけてしまった!
 このバカ孫には二度とこんなことをさせんよう、キッチリと言い聞かせておく!
 だから・・・どうか、どうか許してやってくれい!このとおりじゃ!」

ある意味予想通りとは言え、いきなりのバイオレンスからの展開に、さしものマリーも言葉を失う。
老人は孫娘に『おまえも謝らんか!』と怒りながら、2人で何度も何度も謝罪して頭を下げる。
このまま放置すればどんなことになるか、わかったものではない。
マリーはあわてて『わ、わかった!許すからちょっと落ち着けぇ!』と老人を止めるのだった。

――――

「・・・つーわけだ。わかってくれたか?
 おっさんがもうちょっとしっかりしてくれれば、このコも道踏み外したりしねーだろうから」
「う、うむ・・・」

マリーの説明を聞き、何やら難しそうな顔でうなずく老人。
孫が自分のためとは言え道を誤ったことが許せないのか、それとも孫に道を誤らせてしまった自分が許せないのか。
どちらにせよ、これでもうミラが道を間違えることもないだろう。
間違えれば祖父の鉄拳が待っていることは身に染みて理解しただろうし、祖父も自分がしっかり孫を教育しないと孫がとんでもない過ちを犯すこともわかっただろうし。
まったく2人の暴走ぶりをみているとつくづく血縁関係にあることを思い知らされる。
マリーはたまたまこの町にやってきただけの通りすがりだっていうのに。
まぁとにかくこれで一件落着である。マリーは踵を返してアレス探索に戻ることにした。

「あ、お姉ちゃん!?」
「おい!?どこに行くんじゃ!?まだアンタにはちゃんと詫びも入れておらんぞ!?」
「謝罪ならちゃんと受け取ったよ。アタシはちょっと野暮用があるんでね。これで失礼させてもらうよ」
店主とその孫の制止を無視して店を後にしようとするマリー。
自分の財布を盗まれかけたことは許しがたいが、あの老人を見る限り、また同じことをやらかすことはないだろう。
ミラのほうもどうやら初犯のようだし。
何よりマリーはまだアレスを見つけるという、大事な目的を果たしていないのだ。
見つけて、二度と他の女に目が移らないよう、しっかり首根っこを押さえておかなければならない。
目的を再確認し、ドアを開け・・・かけたその時だった。
ドアの隙間から町の喧噪に交じって聞き逃しのできない声が聞こえた。

「おい!まだ例のメイドは見つからないのか!?」
「申し訳ありません!今全力で捜索しているのですが、何しろ昨日のモンスター襲撃で人手が・・・!」
「言い訳はいい!これ以上町の治安が悪化する前に、あの女を何としても検挙するのだ!!」
「・・・・・・・・・」

パタン。と無言で開きかけた扉を閉めるマリー。
心なしかその顔色は青く、妙な汗をかいているようにも見える。
が、振り返った彼女の顔にはいつも以上に明るい彼女の笑顔があるだけだった。

「・・・と、思ったケドぉ〜?そんなに急ぐ用事でもねーし、アンタの言う『詫び』ってのも気になるし?
 もうちょっとここに居座らせてもらっちゃおーカナー?」
「おお、そうか、まだここにいてくれるか・・・!
 ちょっと待っとれ!今おまえさんに報いるための、最高の一品を持ってきてやる!」

妙に棒読み口調だったのが気になるが・・・老人は特に気づくでもなく、お礼の品を取りに店内へと引っ込んでいったのだった。
――――

「・・・うわお」
「どうじゃ!?ワシの店秘蔵の武器の数々!どれもその辺では手に入らん逸品ばかりじゃぞ!?」

武器屋の主は数点の武器を前に自慢げに語る。
確かにそれは素人目から見ても逸品だとわかる品ばかりだった。
はるか東方の国で作られたという、わずかに反りの入った片刃の剣。
刺突に特化した剣レイピアのようでありながら、その刀身は硬く、思わず見入ってしまうような切れ味のよさを感じさせる。
その隣にあるのはこれは盾ではないかと突っ込みたくなるような、巨大な弓。
その外観は、鎧をまとった弓をイメージしていただければわかりやすいだろうか。
重量もかなりのものらしく、武器の扱いに慣れているはずの老人が苦労して出してきた。
なるほど、これほどの弓ならどんな敵も一撃で仕留められることだろう。使えるものがいればの話だが。
明らかにいわくつきとわかる赤黒い不気味なナイフや貴重な魔法金属で作られた杖などもある。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す