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5大聖龍とその女達
官能リレー小説 - ファンタジー系

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5大聖龍とその女達 185


(早く捕まえて、無理やりにでもお、オレの処女を・・・!)

何かいろいろ間違っているような気もするが、仕方がない。
彼女は狩人で恋する乙女なのだから。
早く想い人を見つけんと、マリーが目を凝らしていると。

「おい、貴様!そこで何をしている!?」
「っ!?」

背後から見張りと思わしき兵士に声をかけられ、マリーは驚いて振り返った。
アレスのことを考えるあまり、周囲への警戒がおろそかになってしまったらしい。
賢明な読者諸君はお気づきかと思うが、城壁の上は兵士以外立ち入り禁止である。
城壁は内外の異常を感知するための見張り台でもあるのだ、当然と言えば当然である。
そんなところにメイドがいるだけでも十分怪しいのに。彼女の足元には気を失った兵士が2〜3人転がっている。
兵士が一瞬で危険人物と判断し、襲ってきたのも無理のない話であった。
素早く兵士の一撃をかわしたマリーは思わず舌打ちを1つすると、何の躊躇もなく城壁から飛び降りた。

「なっ!?」

これにはさすがの兵士も面喰った。
見張り台も兼ねている城壁の上は、かなりの高さがある。
飛び降りるなど自殺行為以外の何物でもない。
驚いた兵士が身を乗り出して下をのぞくと。
いったいいつの間にしかけていたのか、ロープを使って下まで降りたマリーが町中に逃げ去っていく姿があった。
どこぞの大泥棒もビックリの早業である。
見事な逃げっぷりに数瞬呆けていた兵士は我に返ると。
不審人物を捕らえるべく、気絶した仲間を捨てて上司の元へと駆け出した。
まったく朝っぱらから騒がしい限りであった。

(ちいっ!オレとしたことがマズったな・・・後ろの兵士の存在に気づかねえなんてよぉ・・・!)

町の中に逃げ込んだマリーは自分らしからぬミスに、内心で思わず舌打ちをしてしまった。
狩りとは生きるか死ぬか、狩るか狩られるかの戦いである。
戦いにおいて先手必勝は定石だが、それで常に100%勝つとは限らない。
わずかな油断、変化で狩る者と狩られる者の立場が逆転することなど、よくある話である。
だからこそマリーの師である両親は口を酸っぱくして彼女に教えてきた。
どんな時も油断するな。常に気を張り、周囲を警戒しろ。相手がどんなに弱そうに見えても、決して侮ってはならない―――と。
しかしマリーは油断してしまった。
アレスのことを想うあまり、ライバルたちに後れを取っているという焦りが油断を生んでしまった。
兵士たちから逃げ切る自信はある。でもアレス捜索はさすがに中断せざるを得ない。
まったく悔やんでも悔やみきれないミスだった。
何とか逃げながらアレスを探す手段はないものか?
焦りがさらなる焦りを呼び、再びマリーに小さな油断が生まれた―――その時だった。

どんっ。

「わっ!?」
「ぅおっ!?」

いきなり路地裏から町の人間らしきものが飛び出し、激突してしまうマリー。
また油断していたマリーだったが、幼いころから野山を駆け回ってきた狩人。
ぶつかった町の人間は倒れてしまうも、自分は何とかその場に踏みとどまった。
気を付けなければと思っていた矢先に油断してしまったことに後悔しつつ、マリーはあわてて倒れた町の住人を助け起こす。

「わ、悪ィ!大丈夫だったか!?」
「う、うん・・・ありがとう」

そう言って立ち上がったのはまだ年端もいかない幼い少女。
キレイな外見とは裏腹の、乱暴な言葉遣いに驚いたのか、目をぱちくりさせていた。
マリーは倒してしまった少女の衣服をたたいて汚れを軽く叩き落としながら、彼女に傷がないことを確認する。

「大丈夫か?ケガぁないか?」
「う・・・あ?あ、ありがとう、お姉ちゃん!」

マリーの呼びかけにようやく我に返った少女は、驚いたようにマリーから距離を取る。
その行動の意図が読めず、不審に思うより先に少女が動く。

「そ、それじゃあね!」

そう言って逃げるように駆け出す少女。
その行動に不審なものを感じたマリーは、とっさに自分の荷物や財布を確認する。
すると案の定、持っていた財布がまるまる全部持って行かれていた。
ぶつかったあの少女が、どさくさまぎれに盗んだのだ。

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