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5大聖龍とその女達
官能リレー小説 - ファンタジー系

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5大聖龍とその女達 181

確かにアレスは自分のことを必要としてくれる。大事に思っていてくれる。
だけどそれは自分が幼馴染だから、パーティの生命線だからという枠を超えていないのではないか?
ラムサやマリーたちは積極的にアレスにアピールしているのに、自分はどうだろう?
このままお姉さんポジションで終わっていいのか?否!そんなのは嫌だ。
アレスのお嫁さんになるのは自分なのだ。
そう思い立ったエリアは装備の強化も兼ね、積極的にアレスにアピールすることを決めた。
この腕輪はそのための第1歩。踊り子で鍛えたこの身体を武器に、アレスをメロメロにしてやる。

「すみません〜。この腕輪と〜・・・それとそれ、いただけます〜?」
「あいよ、毎度あり」
「あ、それとこの辺りで魔法服を扱っているいいお店を教えていただきたいんですけど〜・・・。
 ご存じありませんか〜?」
(うふふ〜♪見てなさい、アレスちゃん〜?私だっていつまでもただのお姉さんのままじゃいないんだからね〜?)

女の意地とプライドをかけた大勝負。そのための準備がアレスの知らないところで着々と進行しつつあった。

時を同じくして、シズクも目的の場所に来ていた。
看板にはソードが2本交互に掛けられてあり、誰が見てもここは武器屋だとわかる。

「ここだな。んじゃ、行ってみっか」

ドアを開けると、店の前に一人の男性が立っていた。
少し太り気味の中年の男性で、髪は・・・ない。

「いらっしゃいませ。おや、女性とは珍しい。今日はどのようなご用件で?」

「ああ、斧を見たいんだが、良いのあるかい?」

「斧でございますか?でしたら、あちらにございますので、ご案内致しましょう」

主人に促され着いて行くと、店の一角に斧の展示があった。
一般的な斧やハルバートやフランキスカなど種類は様々。
その中からシズクが選んだものとは?

「お?これいいじゃん!」

シズクが手に取ったのは、バトルアックス。
左右に大小の両刀を備え、刃の大きさはシズクの持っていた斧の倍以上はある。
さらに両手で扱う大斧なので、リーチはあるが、その分重く、とても女性が扱う代物ではなかった。

「お客様、確かにそれは良い品でございますが、お客様が扱うには少し・・・」

「ほいっ!」

主人の忠告を余所にシズクはバトルアックスを軽々と持ち上げてしまった。
しかも片腕で。
これには主人もあっけにとられて、何も言えなかった。

「・・・・・・」

「でも、俺の持っている金じゃ買えないんだよな。欲しいんだけどな・・・」

「でしたら、お持ちの武器を下取り致しましょうか?」

「下取り?」

「はい、お客様の武器を私が鑑定致しますので、それを足しにしてはどうでしょう?」

「う〜ん、まあ、金はない訳だし、別にいいぜ」

「では、拝見させて頂きます」

主人はシズクから斧を受け取り、鑑定を始める。
細部まで目を凝らし、時折ルーペを使って装飾の部分を拡大しながら、
ちなみに、シズクの持っていた斧はどこにでもある普通の斧だ。
本人も高値は絶対つかないと思っている。
せめて自分の持っていたものより多少良いものが買えておつりが来ればいいと思っていた。
そう思ってか、シズクはバトルアックスはとうに諦めており、また別の斧を探していた。

鑑定が終わり、主人が店の奥から出てきた。
主人の顔を見ると、どこか微笑ましい顔をしており、それが結果が良かったのか、ただの営業スマイルかはまだわからない。

「お客様、大変お待たせしました。鑑定の方が終了致しました」

「おっ、そうか。で、いくら位?」


「それなのですが、こちらの斧とお客様がご所望のバトルアックスとの1対1での交換でよいでしょうか?」

「えっ!?」

シズクは目を疑った。
安物だと思っていたものが、いきなりバトルアックスと交換だなんてどうひっくり返ってもあり得ないからだ。
シズクは夢でも見ているんじゃないかと思い、頬を抓ってみた。
・・・痛い、夢じゃないな。

「でもいいのかよ、そんな条件だして?だってそれ安物だろ?」

「安物?とんでもない。これは北の地方で採れる『ギラグナ鉱石』」をつ使っているんですよ?」

「ギラグナ鉱石?」

「はい。ギラグナ鉱石は北の地方でも滅多に採れない代物でこの辺りではまず手に入りません。私も何度か実物を拝見しましたが、これほど良いものは初めてです」

「いや、それ本当に安物だったぞ?店にもいっぱい並んでいたし」

「そんなはずはありません。自慢じゃありませんが、私の持てる知識を全て出し切って鑑定したつもりです。それにそんなところがあるなら、今すぐ飛んで行きますよ!」

ちなみに、シズクが言っていたことは正しかった。
現にシズクが訪ねた街には確かに同じものがあったのだ。
そう、あったのだ・・・。

しかしシズクが迷いの森で魔物に洗脳されていてからは時間がかなり経過しており、人々はギラグナ鉱石に目をつけ、かなりの数を採掘し、今では殆ど採れないまでに激減してしまったからだ。
そんなことだとはつゆ知らず、シズクは今でも「なんであんな安物が…」と分からず仕舞。
そしてシズクが今と昔の時間軸のズレに気付くのはまだ先の話。

「それでどうでしょうか?こちらの斧とあちらのバトルアックスの『交換ということでよろしいでしょうか?」

「ああ、いいぜ。あんたの案に乗るよ」

「ありがとうございます。ではそちらのバトルアックスはお客様に差し上げます」

「あんがとさん。じゃ、遠慮なく貰うぜ」

こうしてシズクは新装備『バトルアックス』を手に入れた。

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