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5大聖龍とその女達
官能リレー小説 - ファンタジー系

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5大聖龍とその女達 180


まずは買い物組から

王都の繁華街は流石というべきか、人通りが激しい。
シズクやメルディアは見慣れてはいるが、田舎生まれのエリアとウルゥは呆然としていた。

「ふぇ〜、やっぱり王都ってすごいですね・・・」

「これだけ人が多いと、道に迷ったりしちゃいそうだよ〜」

見渡す限り、人、人、人
街の路地には数多くの露店が立ち並び、それ目当てに客が群がる。
また異国の行商人の数も多く、至る所で馬車を曳いて行き交っている。

「では、ここで待ち合わせというのはどうでしょう?用事が済み次第、ここで落ち合うということで。幸い、店の場所はこの案内板に載ってますから、迷うことはないと思いますよ」

「おっしゃ、じゃあオレは武器屋だ。」

「私は、アンティークショップ。可愛いのがあるといいんだけどな〜」

「わたしは防具屋さん。新しいローブが欲しいので・・・」

「では私はこの古本屋で。こういうところに掘り出し物があるんですよね〜」

それぞれ目当ての店も決まり、期待に胸を膨らませた。

「では皆さん、お決まりのようなので、また後程。いい物が見つかるといいですね」


3人と別れたエリアは見慣れない街を、ふと一軒のアンティークショップを見つけた。

「・・・ここかな?」

店の外観は古いが、それでも辺りの情景と合わせてもいい雰囲気を醸し出している。
店の前のウインドウには様々な装飾品が数多く並び、行き交う人の目を楽しませていた。


しかしエリアがこの店に来たのは決してアレスを誘惑するためだけではない。
いや誘惑する予定はすでにあるのだが、この店に来たのはそれとは別の理由だった。

カランコロン♪

「いらっしゃい・・・おや、これはまた美人のお客さんだね。今日は何をお探しで?」
「うふふ、うれしいことを言ってくださいますね〜。
 今日は魔力を強化するアクセサリーを探しに来たんですけど・・・いいの、あります〜?」

店主のお世辞にまんざらでもない様子で答えるエリア。
すると店主は目を丸くしてまじまじとエリアを見つめた。

「こりゃ驚いた。アンタ、冒険者なのかい?
 そんなにきれいな顔立ちだから、歌姫か何かだと思っていたよ」
「うふふ、お世辞はやめてください〜。あんまり言われたらよけいなものまで買いたくなるじゃないですか〜」
「いやいやお世辞じゃなくて本音だよ。ま、たくさん買ってほしいってのも本音だがね」

店主はそう言うと、店の奥に入っていくつかの商品を持ってくる。
店に飾ってあるのは客引き用のイミテーション(偽物)。
今エリアの前に並べられたアクセサリーこそが、激しい戦闘にも耐え、持ち主に力を与えてくれる本物の商品たちであった。
指輪・ペンダント・イヤリング・ブローチ・髪飾り・腕輪・・・。
その種類はさまざまだが、見るものが見ればこれらがただのアクセサリーでないことにすぐに気付くだろう。
エリアはその1つ1つを手に取りながら、その効果のほどを鑑定していく。
一口に魔力強化と言ってもいろいろある。
単純に魔力のキャパシティを増やしてくれるもの。
魔法の攻撃力や、物理攻撃に対する防御力を高めるもの。
装備することで魔法を使えるようにするものや、特定の攻撃を反射するものもある。

「・・・これ、いいですね〜」

並べられた商品の中、エリアが選んだものは・・・。
それは『踊り子の腕輪』と呼ばれる1対の腕輪であった。
腕輪と呼ぶには大きなリングが、3つほど上から重なるようにくっついている。
金色に輝くシンプルなリングには、スピードと精神力を向上させる呪紋が模様のように刻み込まれている。
店主の許可をもらい、エリアが試しに装備してみると。
どういう原理か、腕輪は手首のところでピタリと止まり、彼女が腕を動かすたびにしゃらしゃらと小気味よい金属音を奏でた。
クルカ村では踊り子として働き、パーティでは僧侶としてサポートしてきたエリアは、これまでの旅を通じてあることに悩んでいた。
それはアレスに対して、自分はあまりにもその好意(愛情)をアピールできていないのでは、ということだ。
世界を騒がす暗黒大帝ゾーマを討とうとするアレスの意思や、ウルゥが巣食う寄生魔物に苦しめられている事情はよく理解している。
しかしそれにかまけて、自分がアレスを1人の男性として愛していることを、まるでアピールできていないように感じていた。

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