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5大聖龍とその女達
官能リレー小説 - ファンタジー系

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5大聖龍とその女達 168


「おう、ずいぶん時間がかかったな?
 カギはかかってないから、入っていいぞ〜!」

アレスの許可を得て部屋にやってきた人物は。

「・・・あれ?シズク?おま・・・何でここに?おまえは別室って決まってたんじゃなかったのか?」
「別にオレはおまえと相部屋になったから来たわけじゃねーよ。
 ほら、その証拠に荷物は何にも持ってきてねえだろ?
 他の連中はまだロビーで大ゲンカやってるよ。
 今日はちっと気になることがあったんでな。おまえの意見を聞きに来たんだよ」

思わぬ珍客シズクはそう言うと、ずかずかと遠慮なく部屋に踏み入り。
備え付けのソファにどっかと座って勝手にくつろぐ。

「おー、ここの部屋もなかなかすげえな。
 まさか一介の傭兵であるオレがこんな高級な宿屋に泊まれるなんて、予想もしなかったよ。
 いや、人間生きてりゃそれだけでいいことあるもんだ♪」
「何、人の部屋で思いっきりくつろいでんだよ・・・。
 何かオレに聞きたいことがあったんじゃないのか?」

まるでこの部屋の主は自分だと言わんばかりの態度にアレスは半ばあきれ果てながら、シズクが何の目的でここに来たのか、問いただした。
するとシズクの顔が急に引き締まり、真剣みを帯び始める。
どうやら思ったより大事なことらしい。
アレスも無意識のうちに気を引き締め、シズクの回答を待つ。

「・・・話ってのは他でもねえ。今日ここを襲ってきた魔物の軍勢たちのことさ。
 おまえ、アイツらと戦ってみてどう思った?」
「・・・?どう・・・ってずいぶん数が多いなって・・・」
「そうだ。今日襲ってきた魔物の数は群れなんてレベルで片づけられないほど、デカい『軍勢』だった。
 だが・・・おまえ、あのモンスターをまとめている群れのリーダーを見つけたか?」
「え・・・!?」

言われてアレスは初めて気が付いた。
そう言えば確かに魔物たちは雪崩のようなものすごい勢いで襲ってきた。
だけど戦闘開始から終了まで、群れを指揮しているヤツを見かけたか?
少なくともアレスはそんな指揮官らしいヤツは見ていなかった。
アレスたちが気づかなかったと言えばそれまでなのだが・・・。
確かに言われてみればおかしな話である。

「それにアイツら、仲間が死のうが1歩も引こうとしなかった。
 いくら凶暴化してるからって、群れの仲間が大半も死ねばビビるなり何なりするはずなのに、ヤツらは逃げようともしなかった。
 一歩も後退しようとしない規模の大きすぎる魔物の軍勢・・・。
 何かおかしいとは思わねえか?」
「・・・。何が、言いたいんだ?シズク・・・」

アレスはさっきから感じる嫌な予感を振り払うようにシズクに訊ねた。
自分の考えと違うものであってくれと半ば祈りながら。
しかしその祈りが天に通じることはなかった。

「もしかして今日倒した連中は本隊の使いっ走り・・・もしくは本命に住処を追われた連中にすぎなかったんじゃねえのか?」

予想通りの言葉にアレスは何も言えない。
あの魔物の群れ以上に強い魔物がこちらにやってくる可能性がある。
いや魔物たちの必死さから考えれば、その時期はかなり近いと見たほうがいい。
安易な楽観視は死を招く。
それはこれまでの経験から学んだことの1つだった。
だからこそアレスはあえて何も言わずに沈黙でもって答えを返した。
アレスの沈黙に、シズクはしばらくうつむいて黙っていた。
もしかすると自分の予測が当たってしまい、気落ちしているのかもしれない。
・・・とアレスは思っていたのだが。

「―――くくっ。くっくっくっくっくっ・・・」
「・・・?」

気落ちしているものとばかり思っていたシズクが、ガマンしきれない様子で笑い出す。
ここは凹むところであって、断じて笑う場面ではない。
それなのに笑うシズクの心理がアレスには理解できず、彼は何か不気味なものを感じて警戒する。

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