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5大聖龍とその女達
官能リレー小説 - ファンタジー系

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5大聖龍とその女達 160

「とにかくあの王都クイーンマリアにあなた方の探す『聖龍の紋章』ティルティオラがいるはずです」
「・・・!」

メルディアの言葉にアレスはここまで来た目的を思い出し、シリアスな顔になる。
建前上・・・否、暗黒大帝ゾーマを倒すためにアレスたちはここに来た。
だが。ティルティオラのところにやってきたのにはもう1つ理由がある。
ここにいる幼馴染の1人、ウルゥに寄生している魔物を排除するためだ。
ここ最近はアレスの子種を求めることなく過ごしているが、アレスは知っている。
魔物ウルゥは別にアレスの子種をあきらめたわけではないことを。
ただ今は魔物を殺すことが楽しくて仕方がないだけだということに。
魔物にとどめを刺そうとするウルゥの顔を思い出すたび、ゾッとする。
死に絶えるその歓喜にゆがむウルゥの表情を。
最近ではもだえ苦しむ姿にまでハマったらしく、時折断末魔の叫びをあげてのた打ち回る姿をボーッと見ているときもある。
もはや一刻の猶予もならない。
早く寄生している魔物を何とかしなければ、四六時中ずっとウルゥの身体をもてあそぶようになるだろう。

「よし、もうひと踏ん張りだ!みんな、王都に着くまで気を抜くなよっ!」
『応っ!!』

こうしてアレスたちは王都キクイーンマリアへ向けて再び移動を開始した。
だがアレスは知らない。ウルゥ本人以外、彼女が魔物に寄生されていることに気づいているということに・・・。
自分が幼馴染たちに心配をかけさせまいとしていた努力が、とうに水の泡となっていたことに。
――――

「ふええ・・・!ここが王都キクイーンマリアか〜!」
「遠くで見たときも大きいとは思ったけど・・・近くで見るとすっげえおっきいな!?」
「か、壁の終わりが見えません・・・!」

王都クイーンマリア。その周囲一帯は大きな城壁で囲まれ、いかなるものの侵入も固く拒んでいる。
唯一翼ある鳥ならばその上を通過できそうな感じだが、城壁の上には何人もの兵士が目を光らせており、たやすく侵入できるわけではないことは一目瞭然だった。
みながあっけにとられる中、シズクが意外そうな様子でその口を開いた。

「意外だな。おまえら、クイーンマリアに来んのは初めてなのか?」
「あ、あらごめんなさい〜。おのぼりさん丸出しになっちゃって〜。
 ほ、ほらみんな、いつまでも呆けてないの〜っ」
「あ、いやそーゆー意味じゃねーよ。
 あれだけ強くて、ここに来たことがないとは思わなくて、さ」

エリアが田舎者丸出しのアレスたちをたしなめる中、シズクは手を振りながらそう答えた。
暗黒大帝ゾーマが現れてからというもの、この世界の治安は悪化の一途をたどっている。
獣は凶暴化し、見たこともない魔物が次々と姿を現す中、傭兵や冒険者は今や引っ張りだこの人気職業だ。
強ければ成り上がることすら夢ではないこの時代、王都というのは一攫千金を狙うものたちの集う夢の国なのだ。
シズクにとって、自分の目にかなうほどの実力者が何の野心も持たずに暮らしているとは信じられないことだったのだ。
しかしそんなシズクの考えがアレスたちにはわからない。
何しろ彼らにとって、強くなることは村を守るために必要なこと。
村で生活していくための当たり前のことだったのだから。

「・・・?なんで強かったらここ来なきゃならねーんだよ?わけわかんねーぞ」
「あー、気にすんな。オレとおまえとの価値観の相違ってヤツだから」
「・・・??おい、メルディア、いったいどーゆーこと・・・ん?どうした、おまえら?」
シズクの質問の意図を聞こうと、アレスがメルディアに声をかけると。
そこには不審そうな様子で城壁の一角を見つめるラムサとメルディアの姿があった。

「いえ・・・大したことではないのですが・・・」
「妙に警備が厳重なのが気になって・・・な」

2人の視線の先にあるのは王都への入り口。
そこでは一獲千金を夢見るものたちでごった返していた。
なぜならそこでは兵士たちによる検問が行われていたからだ。
都に入れないでいる連中の数を見るに、ここ最近になって行われるようになったらしい検問。
王都クイーンマリアで何かあったのだろうか・・・?

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