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5大聖龍とその女達
官能リレー小説 - ファンタジー系

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5大聖龍とその女達 151

最初に青白い発光体を見たときは恐怖で身体が固まった。
それが近づいているとわかったときには、身体がガクガクと震えだした。
そして近づいてくるものの姿が見えてきたときには・・・。

「うわああぁぁああぁぁッ!?」

大声を上げて近づいてくるものに斬りかかっていた。
瞬時に両手を刃物へと変えて振りかぶる。
そして相手の・・・身の毛もよだつ醜くおぞましいゾンビの姿がハッキリとした瞬間、両の凶刃がきらめいた。

ズババババンッ!

ゾンビはあっという間に八つ裂きにされて地面に落ちる。
目に涙を浮かべながらの渾身の連撃。それは少々格好悪かったが、見事な攻撃であった。
「ひややぁッ!?ぞ、ゾンビに触ってしまったぁッ!?」

我に返り、あわてて腐汁のついた手をぬぐうラムサ。
その姿はとても勝利したものの姿に見えない。それもそれだろう。
なぜなら彼女は、まだゾンビに勝ってなどいないのだから。

ボウッ・・・!

「え・・・?」

崩れ落ちたゾンビの肉片のまわりでゆらゆらと浮いていた鬼火たちが大きく燃え、ゾンビに近づいていく。
鬼火は吸い込まれるようにゾンビと1つになる。するとどうしたことだろう。
バラバラに解体されたはずのゾンビがムクリと起き上がったのである!
いやそれは正確ではない。正しくは鬼火の取り憑いた肉片が浮き上がったのである。

「ひぃッ・・・!?」

8のパーツに分かれた肉片は鬼火を接着剤代わりにするかのようにくっつき、あっという間に解体前に近い形で復活した。
しかしその醜悪さはさらにパワーアップしている。
鬼火を接着剤にしてくっついているだけなので、切り口が丸見えの状態でそこから内臓らしきものがこぼれ落ち、腐汁が滴り落ちているのである。
アンデッドらしさを前面に押し出してきた新生・・・否、つぎはぎゾンビにラムサの恐怖心は限界値ギリギリまで跳ね上がった。

「ひいぃぃッ!?来るなっ!来るな来るなクルナァっ!?」

ダダをこねる両手の刃を振り回してゾンビを拒否するラムサ。
だが知能も何もないゾンビにそんなものが通じるわけがない。
ゾンビはどんどん距離を縮め。刃の切っ先がゾンビの胸元を軽く切り裂いた。

「あっ・・・」

傷口から出た腐汁の感触を認識した瞬間、ラムサの中で何かが壊れた。
そのままペタリとしりもちをついて動けなくなってしまった。
その間もゾンビはゆうゆうと距離を縮め。そして腐汁まみれの手をゆっくりとラムサに伸ばした。
腐臭漂うその腕がラムサに触れる―――その直前。

ザンッ!

何かゾンビとラムサの間を通り過ぎた。いったい何が通り過ぎたのか。
両者が反射的にそちらに首を向けようとしたその時だ。
伸ばされていたつぎはぎゾンビの腕が、突然ずるりと滑るように地面に落ちた。
落ちた腕は間もなくボロボロと風化を始め・・・やがて骨も残さず消滅した。
それを見てラムサは確信した。
一瞬で骨ごと腕を断ち切る剣技。
八つ裂きにされてなお復活するゾンビの肉体を消滅させる剣。
そして自分を助けてくれる優しい心根を持つ人物。
そんな相手は1人しかいない。

「あ、アレスぅっ!!」

天の助けとも言うべきタイミングでやってきてくれた最愛の夫に、ラムサはありったけの感謝を込めてその名前を呼んだ。

「感謝するのは後回しだ!早くソイツから離れろっ!!」

暗闇の中からアレスの檄が飛ぶ。
そう。今は生きるか死ぬかの瀬戸際。戦闘の真っ最中だ。
ちょっとした気の緩みが死を招く。
しかも相手はアンデッド。下手をしたら死んでも死に切れない状況にもなりかねない。
すぐさま思考を恋する乙女から剣士のそれに切り替えたラムサは、動物のような俊敏さでそこから離れてアレスと合流した。

「すまないアレスっ、助かった!」
「感謝は後だって言っただろ?それより何なんだ、あのゾンビは!?
 あんなゾンビ、見たことも聞いたこともないぞ!?」

8の肉片を鬼火でくっつけて動くゾンビ。
それは今は亡き両親が遺した書物にも載っていない、未知の存在だった。

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