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5大聖龍とその女達
官能リレー小説 - ファンタジー系

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5大聖龍とその女達 152

戦いにおいて、未知の敵と戦うことはかなりのリスクを伴う。
何しろ相手の弱点や戦い方、何もかもがわからないからだ。
アレスがラムサに情報を求めてきたのも当然のことである。
先ほどは緊急事態ということで聖水をふりかけた聖剣エクセリオンで斬りつけたものの、
できることならあんなことはしたくなかったというのがアレスの偽らざる気持ちであった。

「わ、わからない!さ、最初はゾンビと鬼火だったんだが、合体してあんな風にっ・・・!」
「合体・・・!?」

混乱気味に叫ぶラムサの報告に、アレスは思わず首をかしげる。
確かに魔物の中には複数の魔物が1つの魔物として活動するものが存在する。
複数のスライムが合体して生まれるジャイアントスライム、イノシシにゴブリンが騎乗するボアライダーなどがそれだ。
しかし何の知能もない、それどころか生きてさえいないアンデッドが合体するなんて、まずありえない。

(これも魔王の影響のせいか・・・?)

ありえない状況を前に、そんな推測が頭をよぎる。
だが今は戦闘中。目の前の敵を倒すことに集中しなければならない。
合体の原因追求をやめ、未知なる敵の戦い方、特徴を考えることにした。
ラムサによれば、あれはゾンビと鬼火が合体した魔物だと言う。
ならばその戦い方もそれに準じたものである可能性が高い。

(ゾンビが得意なのは耐久力を生かした接近戦。
 鬼火は遠距離からのエナジードレイン攻撃がメインだったな・・・ってことは)

ボボゥッ!!

手首を失ったつぎはぎゾンビに張り付いた鬼火が突然大きく燃え上がった。
そして次の瞬間、激しく燃え上がった鬼火が分裂してアレスたちに向かって襲いかかった!
しかし予想通りの攻撃にアレスはまったく動じない。
それどころか迫り来る青白い炎の雨を前に、真っ向から立ち向かっていった。
アレスが剣を振るうたびに鬼火は断ち切られ、霞のように消えていく。
事前に降りかけた聖水の効果である。
そしてアレスはそのままつぎはぎゾンビに向かって突進。
つぎはぎゾンビもそれに受けて立とうとしたが・・・。

ザンッ!!

所詮ゾンビはゾンビ。防ぐことすら間に合わず、あっという間にアレスに一刀両断された。
ラムサのときは見事に復活して見せたつぎはぎゾンビ。
しかしエクセリオンに塗られた聖水の力の前に、ゾンビは地に倒れ付し。
そのままチリとなって二度と立ち上がることはなかった。

「ふうっ・・・。大丈夫か、ラムサ?」

ゾンビがいなくなり、聖剣エクセリオンを鞘へと戻したアレスはそう言ってラムサに手を伸ばす。
しかしラムサはその場にへたり込んだままプルプル震えるばかり。
一向にアレスの手を取る気配がない。

「・・・どうした?どこかケガでもしたのか?」
「あ、いや、そうじゃない。そうじゃないんだ。ただ、その・・・」

その様子にアレスが再び声をかけるが、どうにも歯切れが悪く、要領を得ない。
いったいどうしたというのか?
心配するアレスに、ラムサは『あ〜』だの『う〜』だのうめくことしばし。
いよいよ不安になったアレスは、ラムサに手を伸ばすと問答無用で彼女を抱き上げた。
俗に言う『お姫様抱っこ』というヤツである。

「うわっ!?お、おいコラっ!?」
「ちょっと黙ってろ。さっきのゾンビにどこかやられたんだろ?
 すぐ治してやるからちょっと待ってろっ」
「わ、きゃっ!?」

アレスはわめくラムサを一喝して黙らせると、別れた仲間のもとへ駆け出していく。
ラムサはその真剣な表情。服越しに伝わる体温、感触。
初めて会った時より少しだけたくましくなったアレスに、ラムサの顔は知らず赤く染まっていく。
1つは恋慕の感情から。そしてもう1つは羞恥の感情から。
先ほどラムサの様子がおかしかったのは、決してケガをしたからではない。
実は彼女、ゾンビがいなくなったことで緊張の糸が切れ、腰を抜かしてしまったのである。
本来ならその場で失禁するほど怖い思いをしたのだから、それも仕方のない話なのかもしれない。
とは言え、彼女は剣士で『聖龍の剣』である。
まさかゾンビにビビって腰を抜かしたなんて言えるわけがない。
それに何より、降ってわいたこのチャンスを捨てるなんてもったいなさすぎる。
ラムサは真実は決して口にすまいと心に決めながら、愛しい男の腕の中でしばし夢心地を味わうのであった。

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