PiPi's World 投稿小説

5大聖龍とその女達
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 148
 150
の最後へ

5大聖龍とその女達 150


「・・・どうしたんだ、ラムサのヤツ?」
「え!?シズクさん、今の見て何もわからなかったんですか!?」

シズクのつぶやきにウルゥだけでなく全てのものが正気を疑うようなまなざしを送った。

「な、何だよおまえらみんなして!?」
「シズク・・・おまえ、ラムサの態度を見て、ホントに何も気づかなかったのか?」
「フツー気づくだろ?ラムサのヤツ、アンデッドが苦手だってこと」
「え!?だ、だってフツー苦手なら断るなり何なりするもんだろ?
 何で無理して来る必要があるんだよ?」
「言えなかったんだろ?
 アイツ、結構プライド高いみたいだったから」

シズクの言葉にアレスは軽いため息をつきながら説明してやる。
それは1人だけ気づかなかったシズクを責めているようで、彼女は不愉快そうに目をそらした。
そんな中、同じ聖龍であるメルディアが、ラムサのいなくなった方向を見ながらクスクスと笑っていた。

「しかし意外でしたね。あのラムサに苦手なものがあったとは。
 普段はあんなにりりしいのに、あの怯えようと言ったら・・・。
 ふふ、ふふふふ・・・っ♪」
「でも〜。それがホントなら、ラムサちゃんを早く追いかけないと〜。
 もしうっかり出くわしちゃったら、危ないわよ〜?」
「でもみんなで行ったらまずくないですか?
 ラムサさん、アンデッドが苦手って知られたくなくて逃げたわけですし」
「じゃあオレが行くよ。オレなら夜目が利く。
 アレス、悪いけど付き合ってくれるか?」
「あいよ。まかせときな」

こうしてアレスとマリーは、ラムサを追うべくパーティから離れた。
墓場を騒がす犯人の姿はまだ、見えない―――。
――――

「うう、し・・・しまった。
 1人になってはヤツらに対抗できないではないか・・・」

追及を逃れるために1人になったラムサは、ビクビクしながら周囲の様子をうかがっていた。
ウルゥたちの推測どおり、ラムサはアンデッドというものが大嫌いだった。
大の苦手と言い直してもいい。
あの腐りかけのグチャグチャの感触。
切ってもまるで感じられない手ごたえ。
いくら切っても動き続けるあの醜悪さ。
戦うことしかできないラムサにとって、アンデッドとは自分の存在意義を揺るがす、恐ろしい存在だった。
だが。聖龍の血族である自分が死体や幽霊ごときに恐怖することなど、断じてあってはならない。
だからこそラムサは後先考えず、パーティから離脱したのだった。
プライドの高さもここまでくるとこっけいと言うか、あわれと言うか・・・。
ラムサは怯えた子猫のように身体を小さく縮こまらせながら、とぼとぼと歩き始めた。

(戻るにもすぐ帰るなんてできないし・・・。
 何とか時間を潰さないと・・・)

しかし時間を潰すということは、その間1人ということで。
しかも運が悪ければ大嫌いなアンデッドと鉢合わせしてしまう可能性もある。
それだけは何としても避けなければならない。
となれば残る手段は1つ。
時間になるまで適当なところで身を隠すしかない。
ラムサは墓場のそばに生えていた木の根元に身を寄せると、墓石を隠れ蓑にやり過ごすことにした。
(うう・・・怖い・・・・)

木々も多く、墓石と数を競うように並んでいるだけに、星明りもあまり届かず、地面は暗い。
何分、身を隠していただろうか・・・・・・・
ラムサが墓石の陰から様子を伺うと、視界の右端にほんのりと光が見えた。
(アレスたちか?)
期待したラムサだったが、光を見た瞬間、それは恐怖へと変わった。
まだ光は遠くにある。だがその光は、青白い、大き目の発光体が1つ、それに寄り添うように2つの小さ目の青白い発光体だった。
それが漂うように浮かんでいるのだが、わずかずつ、わずかずつ、ラムサのところへと近づいていた。

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す