5大聖龍とその女達 133
「ちょっ、何するのよ、マリーちゃんっ!!」
「待てよエリア、抜け駆けは許さないよ」
「抜け駆けなんて失礼ね。元々先にここに来たのは私だし、ここは私が先に行くのが筋でしょう?」
「いいや、あたしが先に行く。エリアが先に行ったらアレスに何するか分からないからアレスが心配なんだよ」
「ちょっとぉ!それどういう意味!?それじゃあまるで私がアレスちゃんの疫病神みたいじゃない!!」
「ふん、どうだか」
「そういうマリーちゃんだって、いつアレスちゃんに危害を加えるか分からないわ。だからここは私が先に行くわ」
「おい、何だよその言い草!あたしがいつアレスに危害を加えるんだよ!!
「さぁて、どうだか・・・」
「なにぃ!!」
「何よぉ!!」
アレスの部屋(本当はいない)の前でエリアとマリーの決闘は続く。
お互い絶対譲らないという気迫のオーラーを纏い、火花を散らしている。
が、それも意外な形で終わりを告げた。
ガチャ!!
「「きゃっ!!」」
バタンッ!!
突然エリアとマリーが体勢を崩して、アレスの部屋に入ってしまったのだ。
ドアの前で我先にとドアの奪い合いをしていたが、運悪く体勢が崩れ、その時にドアノブにも手が掛かってしまい、こうしてアレスの部屋に侵入したのである。
「いてて、大丈夫かエリア?」
「えぇ、なんとか・・・」
「ったく、気をつけろよな」
「マリーちゃんこそ!ってあれ?」
エリアは辺りを見渡した。
するとそこにはベッドで寝ているはずのアレスがいなかったのだ。
「アレスちゃんがいない?」
「ん?あたし達と入れ違いでトイレに行ったとかじゃねぇのか?」
「いいえ、それはないわ」
「何でそんな事が分かるんだよ?」
「だって、ここに来る前アレスちゃんがトイレに行るかなと思って、見に行ったもの」
「・・・・・」
エリアの行動にマリーは反抗する気力も起きなかった。
「でもこのままどうすんだよ!?アレスがここにいないってことは一体どこにいるんだよ!!」
「・・・はっ、まさか!?」
「ど、どうしたんだよエリア。何か分かったのか?」
「えぇ、どうやら事態は私たちが思っている以上に最悪かもしれないわ」
「どういうことだよ!?」
「いい?ここにアレスちゃんがいないってことは、他の女の子と一緒にいるかもしれないって事よ」
「!!」
その言葉にマリーは大きく反応する。
(他の誰かに先を越された?!ま、まずい!
このままじゃアレスをそいつに取られちまうっ!)
そう思うともう止まらない。
不安に駆られたマリーは一陣の風のように、外に飛び出してアレス探索に行ってしまった。
エリアが止める暇もないくらい、あっという間の出来事だった。
しかし1人取り残されたエリアはさほどあわてていない。