5大聖龍とその女達 120
その言葉に希望の光を見たアレスは、目を輝かせて頭を上げる。
しかしそんな喜ぶアレスに、メルディアは『喜ぶのはまだ早い』と言わんばかりに手で制した。
そして
「落ち着きなさい。
あなたが私の力を求めてきた以上、私はそれに答えるのみ。
だけどあなたの望みをかなえるためには、もう1人の聖龍の力が必要なのよ」
「ああ、ラムサから聞いた。聖龍の『紋章』とか言うヤツ、だな」
「そのとおりよ。だけどあなたに彼女を動かすことができるかしら?
彼女はこの国の王都、『キングザード』の城にいる。
彼女を動かすということは、この国にさらなる混乱をもたらすことになるかもしれないのよ?
あなたにそれができる?」
「できるできないの問題じゃねえ。やらなきゃならねえんだ。
どの道このままでも事態は悪化するだけなんだからな」
アレスの決意の言葉に、メルディアは値踏みするようにアレスを見つめ・・・。
そして何かに納得するかのようにうなずいた。
「いいでしょう。
このメルディア、聖龍の書としてあなたの意思と覚悟を認め、あなたに力を授けましょう」
メルディアはそう言うと、自らの服に手をかけするすると服を脱いでいく。
そしてあらわになったのはラムサたちに負けずとも劣らない、見事な裸身。
胸の大きさでこそラムサたちに負けているが、村の外の女としては十分大きな部類に入るだろう。
ラムサたちのプロポーションをアンバランスな美しさとするなら、こちらはバランスの取れた美しさと言ったところか。
アレスが見とれる中、メルディアはアレスの頬に両手を添え、厳かに言葉をつむぐ。
「では契約を―――」
「ンむっ!?」
そしてゆっくりとした動作でアレスと唇を重ねた。
舌を入れない、シンプルな、キス。
しかしそれだけに情熱的に、深く。
2人だけの部屋に、アレスとメルディアの呼吸、そして唾液の音だけが静かに響いた。
わずか数分とも永遠とも思える時間の後、顔を真っ赤にしたメルディアがおずおずと尋ねてきた。
「あの・・・私のキス、いかがでしたか?」
「え?」
「い、いえその・・・。私、知識はあっても、こういったことは初体験で・・・」
思わず聞き返してしまったアレスに、恥ずかしそうに答えるメルディア。
アレスはあまりのうまさに驚いただけだったのだが。
これが初めてと聞いてさらに驚いた。
この反応からして、おそらく彼女は生娘なのだろう。
しかしラムサと違い、初々しいその反応にアレスの心は否応なしに高鳴った。