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元隷属の大魔導師
官能リレー小説 - ファンタジー系

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元隷属の大魔導師 97

「?……な、なんでしょう?」

「………幸せになるのは、あの二人だけで良いの?」

「は?………っ!」

テーブルの下で己の太股に手を添わせたフローラをヘルシオは頬を紅潮させ、見つめる。
そんなヘルシオを眺め、フローラはニヤリ、と白い歯を見せて笑った。




「……………こ、ここね」

アリアはフローラから聞かされた教会の大きな扉のノブに手を掛けた。
一目見て、とても古い教会だと分かる。二、三百年ではきかないだろう。

ギギイィィ……、と蝶番を軋ませ、厚い樫の扉が開いた。

「し、失礼しま〜す………」

アリアの声が高い天井に木霊する。
そこは礼拝堂であった。
基本的な教会の構造である。
礼拝堂の照明設備は聖具の掲げられた祭壇に長い蝋燭が二本、あるのみ。
アリアはその蝋燭の灯りを頼りに恐る恐る、祭壇へと進んでいく。
向かって左手に告白の為の高さ3m程の小さな箱があった。

「…………はぁ〜……」

アリアもそれなりには信心深いと自負している。
しかし、殆どを闇に包まれた礼拝堂には神聖さよりもむしろ、恐ろしさを感じてしまう。
そんな時………

「………何よ、あんた」

「ひゃぁっ!」

誰もいないと思っていた礼拝堂の隅から突然、声をかけられてアリアは我ながら情けない声を上げてしまった。
その自分の悲鳴に赤面しながらもアリアは慌てて、声のした方を向く。
そこには礼服を着た、二十歳前後の女性がランプを片手に立っていた。
アンギュラス大陸には珍しい、シルバーブロンドの長髪が蝋燭の灯りでゆらゆらと煌めいている。

「えっ……と………」

「………ここら辺の人じゃないわね。こんな夜分に教会へ来る非常識な人間はいないもの」

「す、すみません……」

口ごもるアリアに女性は細長い指を突きつけた。

「………で?」

「は?」

「だからっ……なんの用?説教を受けたいなら明日にして欲しいんだけれど………」

気の強そうな吊り目で自分を睨む女性にアリアは頭を下げながらも答えた。

「申し訳ありません、シスター。あの……こちらにシュナイツ近衛魔導師隊の隊長がいると……」

「ああ、はいはい。デルマーノの客ね」

「そ、そうです」

「いるわよ。奥で司祭と話してるわ。それで、あんたは?」

「え?」

「ちっ……察しの悪い女ね。あんたは何者か、って聞いてんのよ」

「あっ、名乗りもせずに……私は………」

アリアは自分の所属と名を明かす。
女性は聞き終わるとフンッ、と鼻で笑った。

「ふ〜ん……わたしはウルスラ。こう見えてもここの助祭よ。一介のシスターじゃなくてね」

「それは……申し訳ありません」

「はぁ………あんた、謝ってばっかね……まぁ、いいわ。それでアリアさん?」

「はい?」

ウルスラに案内され、彼女が現れた礼拝堂の隅にある扉へとアリアは進む。

「ぶっちゃけ……あんた、デルマーノの何?ただの同僚って訳じゃなさそうだけど……」

「わ、私は……その………」

「ああ、オンナね。それは、まぁ……」

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