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元隷属の大魔導師
官能リレー小説 - ファンタジー系

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元隷属の大魔導師 88

「おお、おのれぇ……私が怖いわけないじゃないっ!馬鹿じゃないのっ!」

エリーゼはそう言うと船内へと続く扉へ歩いていった。
しかし、足は覚束ない。

「イッヒャッヒャッ!」

「もうっ!貴方、面白がっているでしょうっ?」

「いや〜……面白ぇな、姫イジリ………あっ、こけた」

「えっ?………ああっ、姫様。大丈夫ですかっ?」

躓いたエリーゼを助け起こすためにアリアとフローラは走り寄った。
甲板にデルマーノの笑い声が響いたのだった。




翌日。
早朝にワータナー諸島王国へ着いた一行はまず、王城へと赴いた。
これは毎年の事なので何の問題もなく、無事に終わった。
そして姫、学生、騎士達が揃って昼食を採り、宿でしばらくの休憩の後………

「………。……デルマーノさん。私、来て良かったです」

「………そうかい」

ヘルシオは鼻の穴を膨らまし、デルマーノの肩を何度も叩く。
目線の先には学生達に混じり水着姿の近衛騎士達がいた。
勿論、アリアやフローラも、だ。
彼らが今、いるのは宿から程近い砂浜。アルトービーチ。
ワータナー諸島王国の観光地の一つだ。

「ヘルシオ、鏡を見てみろ?元王族とは思えねぇ、酷い顔をしてんぞ?」

「へっ?それは………」

ヘルシオは頬を揉んだり、口を動かして表情を引き締めようとするが、出来なかった。

「ふんっ………」

デルマーノはそう、鼻で笑うと遠くを見つめる。
そのいつもとは違うデルマーノの反応にヘルシオは首を傾げた。

「…………デルマーノさん。もしかして、機嫌悪いですか?」

「そう見えるか?なら、そうなんだろうなぁ」

「………何故です?」

「当ててみな?」

「そうですね〜………」

ヘルシオは浜辺を眺める。
そんな彼の目にある一団の姿が飛び込んできた。
男子学生や教師達である。
海ではしゃぐ近衛騎士達を見て鼻の下を伸ばしていた。

「……。………あれですか?確かに腹立ちますね。フローラさんをあんな目で見て……」

「いやいや……さっきのお前も似たような顔をしていだぞ?」

「でも、デルマーノさんが不機嫌なのは彼らがアリアさんを見ているからでしょ?まぁ、アリアさんの水着姿、そそるものがありますが……」

そうなのである。
今、アリアが着ているのは髪と同じ色をした赤色のビキニだ。
その見事なプロポーションや解いた綺麗な長髪と相まって異性を悩殺するのであった。
ヘルシオがニヘラッ、と笑うとデルマーノは容赦なく頭を叩く。

「痛っ………」

「他人の女をそういう目で見んなっ……はぁ、確かに機嫌の悪い理由の半分はそうなんだが………あっ、ちょっと待て……」

デルマーノは話しを中断すると立ち上がり、浜辺を歩いていた売り子の少年へと歩いていった。
何事か話し、数枚の銅貨を渡すと小瓶を二つ受け取り戻ってくる。

「ほれ………」

デルマーノが投げてよこした瓶を受け取るヘルシオ。
訝しんでいるとデルマーノは封を解き、瓶に口をつけて中身を数口、呑んだ。

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