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元隷属の大魔導師
官能リレー小説 - ファンタジー系

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元隷属の大魔導師 69

二人は背をぴん、と跳ね上げエーデルの後を追い、駆け出した。

「私達は………休みましょうか?どうです、ヴィッツ君。お茶でも?」

「は、はい。お供します!」

「では、行きましょうか」

その後、デルマーノは鍛練場を出て、食堂へと向かい、憩いの一時を楽しんだのだった。




それから二週が経った。
夕方、近衛騎士局に警備以外の人影はない。
全貴族、騎士に本日、舞踏会が開催される事が通達され、皆、出払っているからだ。
ゼノビスV世が幽閉されているため公に出来ないがシンシア妹妃の歓迎パーティーである。
ひっきりなしに王宮入口へと訪れる二頭立て、四頭立ての馬車。
その一台から赤いドレスを着た美女が王宮へ降り立つ。しかし、その豪華なドレスには似つかわしくない短刀を腰から下げていた。
美女はきょろきょろ、と辺りを見回し人を捜す。

「アリアッ!こっちこっち〜」

出入り口の脇にいたクリーム色にドレスアップした長身の女騎士、フローラがその美女へ手を振った。
そう、その美女とはアリアである。

「フローラ……デルマーノ達は?」

「ん〜……まだみたい。私、結構前からいたけど見なかったからさ。それにしても……」
フローラは舐めるようにアリアを下から上へと見ていった。

「気合いの入った格好ねぇ……むふふ。やっぱ、デルマーノ君に見せるため?」

「なっ……それは、その……」

「いいって、いいって……言わなくても分かってるからさ。ふふふ♪」

ぱんぱん、とフローラはアリアの背を叩く。
いくら着飾っても彼女の態度は変わらないのだ。

その時……

突如、空気が唸り、頬を強風が撫でる。
そして、王宮入口に風を叩く轟音が響くと共に黒いドラゴンが舞い降りてきた。
辺りにいた貴族の婦人達から悲鳴が漏れる。
その黒竜、アルゴを見慣れたアリアも驚いていた。
例え竜騎士だと言えど舞踏会にソレでやってくるとは非常識だ。
アリアはアルゴの背に乗る二人の男を不審な目で見る。
一人はヘルシオ、もう一人は言わずもがな愛しき男、デルマーノだ。
二人共、小綺麗な服装をしているが宮廷魔導師のマントは外していない。そのため辺りの豪奢な格好をした者達より少々、粗野な印象を受けてしまう。
まぁ、それは宮廷魔導師は皆、そうだから仕方ないのだが、でもドラゴンに乗ってやってくるなんて。
今日、両親も出席しているアリアは頬を膨らました。
実は密かに両親へデルマーノを紹介しようと企んでいたのだ。
アルゴから降り、係の者へ預けたデルマーノとヘルシオはこちらへ歩いてきた。

「こんばんは。待っていたんですか?」

辺りの目を気にしてか慇懃な仮面を被ったデルマーノがそう問うた。

「………ええ」

「?私、何かしましたか?」

「別にっ……」

そう言うとアリアはぷぅ、と膨れ、そっぽを向く。
デルマーノはアリアが不機嫌な理由が大体、想像できているのだろう、困ったように二度ほど頬を掻くと、では、行きましょうか、と言った。

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