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元隷属の大魔導師
官能リレー小説 - ファンタジー系

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元隷属の大魔導師 36

「嬢ちゃん……お前等がこの国のお姫様か?」

「そ、そうです。私がユーノ、この子がリリア……あ、貴方は?」

ユーノは疑いと怯えの混ざった眼差しでデルマーノを見る。
リリアなど震えているではないか。

「俺ゃ、デルマーノ。ソイツの飼い主だ」

シュナイツ王宮の外であり、他の騎士の目がない為かデルマーノは乱暴に言った。
アリアはそれでは十分ではないと、補足する。

「私はアリア・アルマニエ。シュナイツ王国から来た近衛騎士です。そして彼が近衛魔導隊の隊長。シュナイツ王国より派遣され本日、入城しました」

「貴方達が……援軍ですか…」

騎士と聞き、安心したのだろう彼女達から怯えが消えていた。

「申し訳ありません。私達は……その…任務以外で戦闘は出来ないのです……特に他国では…だから……」

歯切れの悪いアリアの話しを切り、デルマーノは話す。

「はっ……俺達ゃ、シンシア皇妃とユーノ姫、リリア姫……つまりお前等のシュナイツへの亡命時の護衛として来たんだ」

「「……えっ?」」

ユーノとリリアは声を上げ、驚く。
すると、ユーノは怒りで肩を震わし、言った。

「わ、私達に……兵を、民を見捨てて逃げろとっ?」

「ふんっ……俺達が強制的に連れて行く事は出来ねぇ。決めるのはお前達だ。だが…敗軍の女達がどんな扱いを受けるか知らねぇ訳じゃないだろ?」

ユーノは口を開け、反論を試みるが言葉を出せない。
無言の姉に代わり、今度はリリアが尋ねた。

「お、お父様やヒルツお兄様は一緒じゃ…ないの?」

「残念ながらな。シュナイツ騎士がゼノビス皇や前妃の息子を助ける義理ゃねぇし」

リリアは泣きそうな顔で俯き、黙ってしまう。
言葉を紡がなくなってしまった朽ちゆく国の姫君達を気遣い、アリアはデルマーノを引き寄せ、耳元で話した。

「ちょっと……デルマーノ、もう少し遠回しに言えないの?」

「はっ……こうゆうのは誤解をされねぇように正しく言わなきゃいけねぇ。じゃねぇと、変な期待を持たせるからな…」

「でも……可哀想じゃない…」

「ふんっ……本当に可哀想なのはこの国の国民だぜ。貴族や王族が何で税を課せれるか?そりゃ、命に代えてでも民を守るからだ。つー事は今回の事は言うなりゃ、ゼノビス皇やこの国の貴族共の怠慢だ」

「そんな、言い方は…」

エリーゼの時もそうだったが、この男は王族を相手にしても容赦がない。

「だってよ。この国ゃ、隣接してんにも関わらず、カルタラ同盟国家群に属そうとはしなかった。怠慢が嫌なら……義務の放棄だな……痛ぇっ!」

アリアはデルマーノの左手の甲を抓り、黙らせるとユーノとリリアに頭を下げる。

「連れの非礼、本当に申し訳ありません。深く、深く反省させますので……」

甲を抓ったまま、アリアはデルマーノを連れて、城内へ入った。
残された二人の少女と一匹の竜。
アルゴは大きく欠伸をした。




「もう、もう!貴方はもう少し気を使うことを覚えるべきよっ!」

城へ入るとアリアは怒った。

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