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元隷属の大魔導師
官能リレー小説 - ファンタジー系

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元隷属の大魔導師 4

男が着地すると同時に、男たちの首が跳ねとんだ。

「ヒヒッ……よぇなぁ」

男は槍に付いた血をぬぐうと、ドラゴンの背にまたがった。

「生きててよかったなぁ、ねえちゃん。機会があったらまた遊ぼうぜ。イヒヒッ、あばよ」

そのまま飛び立とうとした男を、アリアは慌てて呼び止める。

「待ってくれ!まだ、助けてほしい人がいるんだ」

男はアリアの声に反応し、首だけを後に向けた。
先の戦闘でフードがめくり上がり、男顔がよく窺える。
やはり、若い男だ。アリアと変わらない年頃だろう。
黒い髪をザンバラにし、野性味に溢れた、けれども、整った顔立ち。

「んだよ?もう遊びの時間は終り。こっちはお使いの途中なんだ、あとはてめぇで何とかすんだな。騎士様なんだろう?」

男は一転、どうにもやる気なさげな表情をしている。
だが、ここで帰られたら姫を救う手段はなくなってしまう。
自分のも含めて、立っている馬は一頭もいない、今から姫に追いつくには男の乗っている竜が必要だった。
ヒヒッと品のない笑い声をあげ、立ち去ろうとする青年をアリアは呼び止めた。

「…っ待って!」

「あん?」

また、青年と目が合う。

「シュナイツ王国の姫なのです………先に逃がしたのですが、まだ追っ手が…」

「ああ、さっきの豪勢なガキとそこの死体のお仲間な?」

「何故、それ…を?」

「イヒッ…見てたもんよ、最初からな…」

「なっ…」

「はいはい、分かるよぉ〜…何故、初めに見つけた時に助けなかったのか、だろ?……勘違いすんなよ、ねえちゃん。言ったろ?お前を助けたのは、ただの礼だってなぁ…」

アリアは見誤っていた。青年を同盟国家群に所属するどこかの国の竜騎士だと思っていた。
だが、今なら分かる。目の前にいるのは騎士どころか人間ではない。
眼は己の快楽を見るためだけに存在し、欲望のままに牙を剥く、人の皮を被った野獣だ。

「くっ……頼む!私が出来る事なら何でもする!だから、姫様を…助けて……」

それでもアリアはこの男に頼むしかない。一縷の希望を胸に必死に頭を下げる。

面食らった様にポカンと口を開く青年。まるで真夏に焚かれた暖炉を見たかの様な疑惑の視線を向ける。

「……けっ、何でそこまですんだよ?王族ったって、たかが姫一人だ。てめぇの命は助かったんだから、さっさと逃げちまえば良いじゃねぇか…」

「何を馬鹿なっ!私はシュナイツ王国の誇り高き騎士。騎士が騎士道を守るのは当然だっ!」

「…騎士道……騎士道ねぇ………クッ…ッィヒヒヒャヒャヒャッヒャ〜〜……」

青年は先程よりもさらに大きく、笑い始めた。涙を流し、手を叩くその爆笑を見た者は皆、不愉快になることだろう。

「ヒッヒヒッ……ねえちゃん、何でもするんだな?」

肩を震わせ、アリアに尋ねる。

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