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元隷属の大魔導師
官能リレー小説 - ファンタジー系

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元隷属の大魔導師 267

そして、おもむろに唇を重ねられた。熱烈にだ。

「んっ、ふぅ……ちゅっ、んふふぅ……デル……ちゅる……マーノさまぁ……んんっ……」

隷属種といえども立派な吸血鬼。
デルマーノは、じたばたと手足を動かし、なんとか怪力吸血エルフから逃れようと必死になる。
傍から「ああ〜っ!」だの「きゃあっ♪」だのと悲鳴とも歓声ともつかぬ叫び声が聞こえてきたが、それに応える余裕なんてものはなかった。

「んっ、ちゅ……、…………〜〜っ!ぷはぁっ」

仕方ない。
デルマーノは唇塞がれついでにジルの小さな鼻をつまんでやった。
初めこそ、こちらの悪あがきと受け取っていたジルだったが、次第に呼吸が苦しくなっていったのだろう。
力も弱まり、デルマーノは難なくジルの接吻から逃れられた。

「はぁ……はぁ……」

デルマーノは息を絶え絶え、吸血エルフをにらんだ。
すると、少女のように唇を尖らせていた。
まるで、シャーロットだ。少なくとも、まだ理性的なジルの行う所作ではなかった。
デルマーノは、おそるおそる、脳裏に浮かんだ、できれば当たってほしくない疑問を口にしてみた。

「……ジル?おまえ、まだ酔ってんのか?」

「はい?酔ってませんヨ?」

「……ああ。おまえに一滴でも飲ませたおれがバカだった。うん、反省してんよ」

彼女は決して「〜ですヨ」なんて素面じゃ言わない。
デルマーノは侍女エルフに半眼を向けつつ、半歩、後退した。
けれども、その間合いはジルの再接近ですぐに消えてしまう。
スルスルの伸ばされてきた彼女の細い両腕が首に、頬に、胸に絡まり、撫でられた。
そして、再びの接吻――

「ちょっと待って、ストップ、そこ!」

をしようとしたジルだったが、その黒を基調とした侍女服の襟首を背後から掴まれでしまう。
そうすると、否応なく頭を前進させることは適わなくなった。
もちろん、止めたのはアリア・アルマニエ――このエルフメイドの暴挙を看過できない女騎士である。

「なんでしょう、アリアさん?」

「……な・ん・で・しょ・う?なにをしているのよ、貴女こそ」

「夜、ほろ酔い気分、同衾の準備も完璧――なのにアリアさんもシャーロット様も行動を起こしにならないので……」

「〜〜っ」

アリアが唇を噛み、頬を赤く上気させた。
なるほど?この先の展開は読めた。
だが、読めたところで自分の態度は変えられはしないのだ。
デルマーノは諦念と僅かばかりの若輩なる期待に包まれた。
真っ赤になった顔でアリアが歩み寄ってくると、有無を言わさぬ、と唇を重ねられた。
奥手で照れ屋な彼女にしては、あまりにも積極的である。
その滑らかで、柔らかい唇の感触を味わうデルマーノ。

「んっふむぅ……ちゅるる……んんっ……」

残念ながら、自分の口はひとつしかないのだ。
所在なく立つジルを一瞥、アリアが舌を忍ばせてくる。
デルマーノも望むところ、己の舌を絡ませ、唾液を交換していった。

「ふむ……ちゅっ……」

「アリ、ア……んっ――んんっ?」

「っ?どうしたの、デルマ……ノ……」

アリアが唇を離した。

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