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元隷属の大魔導師
官能リレー小説 - ファンタジー系

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元隷属の大魔導師 266

もし、以心伝心などというなら、こっちがどれほどの心持ちなのかくらいは察してほしい。
そんなデルマーノの願いも虚しく、シャーロットは自身の思惑と欲求に従順であった。

「しょうがないなぁ。教えたげる」

「クソガキ、てめェの耳は飾りなのか?」

「――お兄ちゃん。私を慰めて?主に、肉体的に」

「聞けよっ!ぶっ殺されてえのか――って、ま、待て、アリアッ!ンだ、その目っ?」

流し目を送ってくるシャーロットに、とうとう我慢の限界だと声を張ったデルマーノ。
だが、ふと視線を巡らせると、赤毛の女騎士が相当な眼差しで睨んできていた。

「へえ?な・ぐ・さ・め・て?に・く・た・い・て・き・に?」

「ア、アリア……おまえは、いま、盛大な勘違いをしてんぞ?たしかに俺ゃ、シャーロットやジル……んまあ、関係を持っちまった。けどなっ!」

「けど?」

アリアが、ほんのわずかにだが、こちらの言論に対する隙――みたいなものを見せた。
デルマーノは、これ幸いと畳みかける。

「俺は、あのワータナー以降は、一編たりともンなこたしてねェんだよっ!」

「…………ほんとに?」

「なんで、ンなに猜疑心がたっぷりなんだ?実は傷付くんだぞ、俺でも」

デルマーノは身の潔白を叫んだ。
そりゃ、同じ家に積極的な痴女と消極的な痴女がいるわけだから、疑いもされるだろうし、実際にタイミングを見計らっては、寝所に忍び込もうとか、風呂場で誘惑しようとかしてきてはいたが、今日まで、なにもなかったのは本当なのである。
そんな忍耐強い己をデルマーノは賞賛した。
そんな思い――というか祈りが伝わったのか、アリアは、その山羊のミルクを思わせる白く滑らかな頬に右の人差し指を当て、首を傾げてくる。

「本当に、本当?」

「本当に、本当に、本当だ」

「本当に……本当のほんと――」

「おっ?おおっ?お兄ちゃんとアリアがラブラブトークをっ!」

「シャ、シャーロットっ?」

アリアの追求。
そこへシャーロットの揶揄――を言える脳みそがあるんだったらどれだけよかったことか、処女でもないくせに幼女じみたからかいが割って入ってきた。
こちらも処女ではないが、乙女まっしぐらなアリアが頬を紅潮させ、吸血少女へと、その名を叫ぶ。
シャーロットはシャーロットで、「へっへー」と舌を出して、赤毛の女騎士を再度、挑発した。
……本人たちは、さながら竜虎のごとく言い争っているつもりなんだろうが、傍から見れば姉妹喧嘩だ。
なかなか微笑ましい。
できれば、このまま騒ぐだけ騒いで寝てくれれば――、そんなことを願いつつデルマーノは、ふたりから視線を外した。
自分の逃げ道を塞ぎに回ったジルがどうしているのか、気になったのだ。

「………………」

目の前にいた。
もし、コレ以上の『目の前』があるだとしたら、それはもう『接触』である。
――要は、いつの間にか金髪、鳶色の瞳、涼しげな目元が印象的な侍女服吸血エルフの白く、しかし、ほんのり紅潮した麗然の顔が、すぐ眼前にあったのだ。
その濡れたように長い睫毛の一本、一本までがよく見れた。

「ジ、ルんんっ!」

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