PiPi's World 投稿小説

元隷属の大魔導師
官能リレー小説 - ファンタジー系

の最初へ
 214
 216
の最後へ

元隷属の大魔導師 216

「つまり――えっ、と……」

「気配がそこら中にあるということです。コレの場合、この王都全体に私の魔力の気配があるんですよ。消えたように見せるのが不可能なので、ね……発想を展開してみました」

「へぇ〜。さすがと言うか、よくやると言うか……。でも、これでシャーロットの妨害は――」

「はい。まぁ、無理でしょう」

「っ!…………〜〜ふふっ」

アリアは瞳を輝かせ、微笑んだ。
現状を受け入れている節があったデルマーノだったが、水面下ではいろいろと考えていてくれのである。
それが堪らなく嬉しかった。
実は自分は――独占欲が強い。
いや、きっと世の女性はみんな、恋をすると独占欲が強くなるのだ。
その愛しき相手への……。

「では、行きましょうか?」

そんなアリアの胸中だけで漏らした呟きなどは聴こえなかったのだろう、デルマーノは席を立ち上がると微笑んで言う。
アリアも大きく頷くと席を立った。
勢いのあまり、椅子が鳴ってしまったのも仕方ない――と、密かに自分へと言い訳をする。

「どこ、行く?劇場……はこの前、行ったばかりだし」

「そうですねェ。まだ、早いですが、一杯どうです?良い店を見つけたんですよ」

「う、う〜ん……デルマーノと呑むと次の日が、ね。ほら、貴方のペースに合わせると、一瞬で酔っちゃうじゃない?」

「一瞬――は言い過ぎでは?」

「そんなことないわ。実際、フローラやヘルシオ君だって、翌日の午前中は元気がないもの。デルマーノ自身は全然、酔わないのにね」

「まぁ、私は体質上……酔いにくいし、酔ってもすぐに醒めてしまいますから」

「だから、こっちの身にもなって、ってことよ。すると、あとは――」


「――デルマーノ隊長は……ああ、いらっしゃいました。少しお話しが――、と、お邪魔でしたか?」


アリアがデルマーノと他愛ない会話に花を咲かせていると、食堂に新たに現れた騎士が介入してきた。
二人が揃って見ると第一王女付き近衛隊長エーデル・ワイスが走ってきたのか、少し、息を荒げて、立っていた。
だが、故意でなくとも、部下と同僚の会話――というよりも、甘い雰囲気を壊してしまったことへ即座に気を使えるあたりはさすがだ。
一礼するアリアの横で、デルマーノは柔和な笑みを浮かべて、手を左右に振った。

「……これは、エーデル隊長。お邪魔なんて、とんでもない。大丈夫ですよ。それで――私になにか、ご用が?」

「はい――あ、いえ、そこまで緊急というわけではないのですが――。陛下がまだ、ご快復なされてないでしょう?ですが、もう半年も前から、訪問の予定が決まっていまして。相手国にも失礼だ、ということで代わりにエリーゼ様が……」

「まぁ、女王陛下に代わり第一王女ということも、本当は失礼なんでしょうが……それは相手国もご了承のことなんでしょう。それで第一王女付き近衛隊が護衛、それに加え、私の隊も――ということで?」

「っ……相も変わらず、察しが良いですね。助かります」

「いや、早合点でなく、良かったです」

SNSでこの小説を紹介

ファンタジー系の他のリレー小説

こちらから小説を探す