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元隷属の大魔導師
官能リレー小説 - ファンタジー系

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元隷属の大魔導師 21

アリアに首元へ訓練用に刃引きされた剣を突き付けられた金髪は肩で纏めた女騎士が降参する。
アリアは朝一から近衛騎士局の訓練場で剣を振っていた。

シュナイツは文武十七の局を王宮の周囲に配置している。
アリアは近衛騎士局第一王女付の部署へ配属されているのだ。

「はぁ、はぁ、はぁ……もう、アリアってば。今日は一段と気合い入ってたわね?」

アリアが訓練を終え、女性更衣室へ汗を流しに向かおうとしていると、先程の試合相手であった女騎士フローラが声をかけてきた。
彼女も行き先は同じなのだろう。
「そう、かな?私はいつも通りだったと思うけど…」

「んな訳ないって。昨日、帰還したばっかでしょ?休むよ、普通は…」

騎士らしい精悍な顔つきに少女のような大きな瞳を持つ美女――フローラ。
彼女は学生時代からの友人で、口が軽いのが玉に瑕だが気兼ねなく話せる。

「………私は……弱い。今回の任務でそう実感したの。多分、それが理由ね」

「だから、もうっ……いつも言ってるじゃん、思い詰めすぎるなってさ」

首一つ大きいフローラはアリアの頭をポンポンと撫でた。
その時、思い出したように話題を持ち出してくる。

「そう言えばさぁ……『紫水晶』ヘニングス様と彼の弟子が宮廷魔導師団に加わったのってアンタの任務に関係してたんだって?」

思いがけない所でデルマーノの話題が出て一瞬、身を強ばらせるアリア。

「そ、そうよ。デルマ…ノーク殿の弟子に助けていただいたのがきっかけで……」

「それで、その『ノーク・ヘニングスの弟子』って……どんな人?近衛の中でも結構、話題になってるわよぉ。奴隷出身だとか?」

「む……そういう差別意識は騎士としてどうかと思う。少なくとも彼は悪い人じゃないわよ、絶対に」

フローラはアリアを見て何度か、瞬きをする。

「な、何よ?」

「ふ〜ん、別に〜……ただ、あの堅物のアリアにねぇ…とうとう春が来たんだなぁ〜て」

「わ、私とデルマーノはそんな関係じゃないっ!」

「へぇ〜…デルマーノって言うんだぁ。それで?」

「それで、とは?」

「決まってるじゃないっ。それで二人の仲はドコまでいってるか、よ!」

「ドコまで……」

新しい玩具を得た子供の様に始終、鼻息荒く問いかけるフローラ。

(ドコまでって……そもそも、そんなんじゃないし…でも、一緒に湯浴みしたとこの友人に言ったら…)

チラリとフローラを盗み見ると明らかに何かを期待し、爛々と目が輝いていた。

(言えないっ……もし、言ったらこの誤解が一日で近衛隊中に広がってしまう!)

「そりゃ、学生時代から奥手なアリアだったからさ。別に手を繋いだとか、プレゼントを貰っただのを期待している訳じゃないって。でも、全く行動を起こしていないってのは頂けないわっ」

何も言わないアリアを何と勘違いしたのか、フローラはまくしたてる。
喧しい友人に呆れ、アリアは呟いた。

「いや…多分、それ以上の事をしたし…」

「何?」

「いや、別に」


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