元隷属の大魔導師 176
デルマーノは聞き返した。
すでに拘束している者とされている者、その両者の力関係は完全に逆転している。
「……みと、めるから……認めるからぁっ……」
「……何をだ?」
自分でけしかけたのだ、デルマーノはもちろん、シャーロットが何を認めたのか分かっている。
だが、それでも満足しないのがデルマーノという人間である。
完璧なまでにシャーロットを堕として、その真血種の吸血鬼とやらの精神を屈伏させたいのだ。
そして、シャーロットもそのデルマーノの企みに感づいている。
ジルが堕とされた時点で幾分、理解した。
デルマーノのやり口を、だ。
ジルの場合、彼女の中に眠る被虐心を発露させ、そしてソレさえも受け入れる自分、というモノをデルマーノは演出した。
一種のツンデレだと考えても良いだろう。
そして今度はシャーロット自身にその矛先が向けられた。
今回は自分の淫性を自覚させ、屈伏させるつもりだ、とシャーロットは分かっている。
だが、その内なる衝動に抗う事ができなかった。
もしかしたら、被虐性も淫性も総じて大抵の女性には備わっているモノなのかもしれないが、ジルもシャーロットも経験がなかった事が災いした。
女性なんだから――いや、生物なんだから仕方がない、と自身を納得させることができず、胸に抱く清純さに精神を蝕まれていったのだ。
結果、衰弱したその心は交わる相手――デルマーノへと屈伏してしまうのである。
大抵の初めての男女は互いに己の中に眠る意外な性癖の発現させ、そしてそれが一種の絆になるのだろうが、デルマーノはそれを意識的にさせようというのだ。
そこまで、聡明なる吸血鬼シャーロットは理解していたが、だとしても自身の肉体と精神をコントロールすることはできなかった。
「わ……わたしは……」
「私は?」
「……へん、たい……です……」
よほど恥ずかしいのかプルプルとシャーロットは小刻みに身体を震わした。
だが、デルマーノの返答は無情なモノであった。
「聞こえねぇな。もう一度、聞こえるように言ってくれるか?」
「ぅ…………」
「どうした?ああ……やっぱ、恥ずかしいよなァ?不死生物――アンデットの中でも最優良種である誇り高き吸血鬼の真血種が人間なんかに媚びるんだもんな?いや、なに……俺も鬼じゃねぇんだ。このまま止めて……そうだな、ジルと二回戦でもするかなァ?」
恥辱と欲求に絶句するシャーロット。
そんな彼女の反応すらも想定の範囲内だったのだろう、デルマーノは即座にシャーロットを辱め、突き放す発言をした。
シャーロットはそれがある種の儀式的なモノだとは判っていたが、それでも青くなり、自身の愛液を溢れ出す陰部をデルマーノへと擦り付ける。
なんと言っても右腕を枕にしてウトウトしていたジルがデルマーノの言葉にそれこそ目が覚めたようにビクンッと身体を震わして反応したのが効果的だった。
どうやら一足先に処女を喪失した従者は男の味を覚えてしまったようだ。
シャーロットは慌てて詳細に言い直した。