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元隷属の大魔導師
官能リレー小説 - ファンタジー系

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元隷属の大魔導師 151

ッギュゴゴ……ゴギャ…………

デルマーノの身体は破砕音を鳴らし、その体積を数千分の一にまで収縮した。
しかし、シャーロットは再び、暗黒球体を同じ数だけ作り出して、周囲へ視線を巡らす。

「……どうせ、また氷の身代わりなんでしょ?」

「イヒッ!勘が良いようで……」

「――ッ」

シャーロットは声がした方向とは真逆へと球体を射出した。
薄い金属同士を打ち合わせたような甲高い音ともに暗黒球は消え、代わりに目に見えぬほど微細なナニかが石の床にぶつかり、割れる。
ガラスだと推測出来る音だったがおそらく氷だろう。
しかし、シャーロットはそんなモノに気をかけている余裕はなかった。

――ゥンッ!!ヒュ……カッ!カカカンッ!

本能に通じる第六感を頼りにシャーロットは一歩、後方へ跳んだ。
すると直ぐ前を高速で致死の刃が通過した。
息をつく暇も与えず、次は刺突が、それを戦斧の平でいなすと続けざまに上段、中段、再び上段、そして逆袈裟切りに戦闘槍の刃が走る。
全てを受けきり、見当を付けて反撃したシャーロットの戦斧に手応えはなかった。
フッとデルマーノが姿を現す。
シャーロットの予想より戦斧一本分、更に遠くへいた。

二人はそれぞれの得物を構え直し、向かい合った。

「……闇系統の魔法か。特徴は吸収、または粉砕。重力操作なかもあったよな?」

「うん。まぁ、重力の操作は消費魔力が大いのに使い勝手が悪いから嫌いだけど……」

「ヒヒッ……すると嬢ちゃんは闇と雷が使えるのか?」

「そうだよ。でも、まだ私……雷の魔導は使ってないよね?」

「昨日のメイドエルフが使ってたんでな。エルフが精霊魔導以外を使える訳がない」

「ああ、それでかぁ。そう言えばジル――お兄ちゃんの言うメイドエルフの事ね?あの子ったら凄く怒ってたよ?」

シャーロットのからかうような言葉にデルマーノは怪訝な表情を浮かべた。

「あぁ?なんでだよ?」

「そりゃ……吸血鬼が人間に負けたんだもん、当然だよ」

「イヒヒッ……逆恨みかよ?ま、恨まれるのには慣れているんでね。俺にゃ関係ない」

デルマーノは内なる邪悪が滲み出るように口端を盛大に歪める。
その表情を見て、シャーロットは吹き出した。

「くっ、ぷくくくっ……なるほど、ジルじゃお兄ちゃんには勝てない訳だ。お兄ちゃんを人間だと思っちゃいけないんだね。お兄ちゃんは……妖魔よりずっと妖魔らしいよ」

「それは……褒めてるか?」

「そのつもりだけど……」

「イヒッ、イッヒッヒッ……んなら、礼をしなきゃな」

デルマーノは左手の中指に嵌めた魔導媒体である指輪に魔力を注いだ。
緑色の閃光が室内を包み込む。
シャーロットも呼応するように魔力を高めた。
二人とも共通したある予感をしていた。
それはこの一撃で決着が付く、という事だ。

「……はっ!」

デルマーノが左手の人差し指をクイッと曲げるとシャーロットの足元の床から数十本もの氷柱が生え、彼女へと襲いかかった。

「んんっ…………たぁっ」

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