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元隷属の大魔導師
官能リレー小説 - ファンタジー系

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元隷属の大魔導師 13

アルゴは低く鳴き、バルコニーから飛び立つと闇夜へと消えていった。
それを見送ったデルマーノは先に茶でも飲んでいるのであろう師達のいる食堂へと向かう。

(さすがにまだ冷えるな………それにしてもアルゴの奴め……ヒヒッ…俺が惚れた、ねぇ……まぁ、否定はしねぇがな。実際、気に入っているし…)

今日、出会ったばかりの女騎士を思い出した。
少女のように感情の起伏は激しいが、騎士として芯がしっかりと通った彼女はデルマーノが今まで会った騎士にいないタイプである。純粋で見ていて面白いのだ。


食堂に行く前に調理場へと向かった。そこには彼が果実を貯蔵した瓶が幾つもあるのだ。
調理場へと入ると先にレベッカがいた。皿に盛った菓子を運ぼうと盆に乗せている。
デルマーノは戸棚の奥から蜂蜜に漬けた苺の瓶と手近にあった皿、フォークを持ってレベッカと共に食堂へと向かった。
会話もないまま食堂へ着き、皿を小脇に挟み扉を開ける。

「…れている。ノーク・ヘニングス殿、どうか我が国の宮廷魔導師団に加わって戴きたい。母には私から事情を話し、頼もう。それにノーク殿であればきっと、母も賛成するばずだ」

細長いテーブルでノークの対面に座ったエリーゼが頭を下げていた。

「……儂は以前、シュナイツの魔術学院で教鞭を取っておった。しかし儂の方針は認められず、自ら辞めたのじゃよ。つまりはシュナイツ王国の魔術師団とは相性が悪い。分かるじゃろ?」

「…それでも、私は招きたい。今のシュナイツ、いやカルタラ同盟国家群は外敵に脅かされている。一人でも多くの勇者、賢者を招集するべきなのだ」

「むぅ………っ!」

その時、席に着いていた三人は初めてデルマーノが食堂に入ってきた事に気付いた。

「けっ……邪魔したか?」

「いや、弟子であるお前にも関係のある話しじゃ…」

そのノークの言葉にエリーゼは嫌な顔をする。ノークと一緒にこの嫌味な奴隷出身者も来る事を失念していたのだ。

「デルマーノ、お前はどうしたい?」

机の端にドカッと座ると瓶詰めのフルーツを皿に盛ったデルマーノにノークが尋ねた。

「あん?…ジジイが好きにすりゃ良い。シュナイツに行きたきゃ、着いてくぜ?」

デルマーノはフォークに刺した苺を紅茶に入れ、かき混ぜながら答える。ノークはその反応で彼が大して興味が無い事を理解した。
勿論ノークはたった一人しかいないとはいえ、弟子の意見を最優先にする気はない。だが、余りに無関心なのもどうかと思った。

「……お前の今後にも関わるのじゃがな…」

「ジジイの残り少ねぇ人生の間くらいは付き合ってやる。その後はてめぇで決めるがな…イヒッ!」

「ふむ………」

この生意気な弟子は憎まれ口を叩くが、要は自分の判断に従うつもりなのだろう。

(儂は…魔術師は魔術をただ、習得するだけではいけないと過去の冒険で学んだ。じゃが、学院や宮廷魔導師団にその考えは受け入れられなかった。

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