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元隷属の大魔導師
官能リレー小説 - ファンタジー系

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元隷属の大魔導師 120

進行方向が彼の影に隠れ、みえなかったのだ、仕方がないかった。

「デルマーノ、どうし……んぐっ………」

………ドサァッ…………

アリアはデルマーノが突然、立ち止まった事を不審に思い、彼の顔を覗きこもうとする。
すると突如、デルマーノは右手でアリアの口を塞ぎ、左腕で彼女の体を抱えると地面へ飛び伏せた。
それは端から見れば強姦の加害者と被害者の図以外の何物でもない。

「……アリア、ヤバい………静かに……」

「………………んむ」

顔を赤くし、身体を強ばらせるアリアの耳元でデルマーノは小さく、呟いた。
アリアは一瞬、デルマーノの言葉を欲求不満なのかと誤推してドキッ、としてしまったが、すぐに思い直し、コクリと頷く。
その彼女の行為を確認するとデルマーノはスッ、と口から手をどけ、アリアの身体を自由にした。

「……進行方向、右に時計の針、一時間分……距離は十五歩………」

「えっ?………ええ……」

アリアは一拍、遅れてデルマーノが伝えたい事を理解する。
彼女は言われた通りの場所へ目を凝らした。

「……………………………っ!あれはっ……」

「声がでけぇ……」

「っごめん………」

見えやすいよう頭を少し上げたアリアはデルマーノの叱責に直ぐ様、しゃがみこむ。
しかし、アリアが驚愕のあまり大声を出し掛けたのも致し方なかろう。
何故なら……。

「……あれって……サグレス、様?」

今度は蚊の鳴くような声で尋ねた。
そう、二人が発見したのは散々、捜し回っていたサグレス本人であったのだ。

「ああ………んで、隣の…メイドは………誰だ?」

「…………さぁ?でも……」

デルマーノは茫然自失と膝を着くサグレスの脇に立つ侍女服姿の若い女を指差し、言った。
勿論、アリアが知る由もない。
唯一、分かったのはその女の耳が尖っている事。

「……あれって、エルフよね?」

「ん……ハーフかもしんねぇが………………おいっ……ありゃ………」

向こうがこちらに気付く前に隠れられたのだろう、侍女エルフは辺りへ気を配りつつも平然とサグレスの首筋に唇を添えた。
その次の瞬間、デルマーノは声を震えさせて戦慄する。
その女の口からニュッ、と二本の牙が現れたのだ。

「きゅ、吸血鬼っ……」

恐怖に顔をひきつらせたアリアは思わず、デルマーノの身体に肩を寄せてしまう。

「………そういうプレイかもしれないが……」

「……馬鹿な事を言わないでっ………」

「……いや、悪い。ただの現実逃避だ………んな、事よりこういう時ゃ、先手必勝ってな」

デルマーノは目を針のように細めて言った。
アリアは驚き、反論する。

「待って……貴方、船の中で勝てないって」

「真血種にはな。まだ、そうと決まった訳じゃねぇ」

「でも………そうじゃないと決まった訳でもないでしょ」

「っ!……ヒヒッ、言うねぇ。まぁ、確かにそうだわな。だがな……最悪、アイツが真血種でも、強襲してバカガキを抱えて逃げる事ぐれぇはできるさ」

「デルマー……んんっ!」

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