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元隷属の大魔導師
官能リレー小説 - ファンタジー系

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元隷属の大魔導師 105

「ぅ………」

デルマーノのその黒い瞳に真っ正面から見つめられ、自身への愛を端的に、しかし真剣に語られたアリアは一変、頬を赤く染める。

「だから……そう、臍を曲げるな。第一、俺はリーゼにゃこれっぽっちも色情を感じない」

「………そう、よね。他の男性ならまだしもデルマーノ、だもの」

スッ、とアリアはデルマーノの右足から脚甲をどかした。

「ごめんなさい。デルマーノが女性の容姿を誉めるのなんて……初めてだったから」

「そうか?いつも、アリアにゃ言ってんだろ?」

「えっ?」

「可愛いだとか、綺麗だとか。ベッドの上、でな?イッヒッヒッ……」

「ぁぅ……」

熟れた林檎のように耳まで朱にしたアリアはその顔を隠すように葡萄酒を呷る。
足を踏まれた仕返しにアリアが照れる様を愛でていたデルマーノはしばらくし、口を開いた。

「………んま、弁護する訳じゃねぇんだが、リーゼは根っからの暴君って訳じゃねぇ。親やら側近やらの横暴な行為をガキの頃からすぐそばで見ていたんだ、仕方ない。王や貴族達の正しい為政ってヤツを知らないだろうさ。勿論、推測だがな?」

「でも……そんな理由で………」

「確かに……んな、理由で政治を取られちゃ、民はたまんねぇだろうさ。だから、この国で近い内に叛乱が起きる。大規模なヤツだ。リーゼ女王陛下が変わんないかぎりは……必ず」

デルマーノはトントン、と机を右手の人差し指で叩く。

「けれど……リーゼ様が暴君ではないっていうのは………デルマーノの憶測よね?」

「ん?……ああ。だがな、リーゼのカルタラにおける最大の理解者…友人は誰だと思う?」

「えっ?」

アリアは顎に手を置き、思案した。
デルマーノがあえて尋ねるという事はアリアの知っている人間だという事だ。
理解者を友人と言い換えたのは歳が近い為だろうか?
女王リーゼは確か二十二歳。
その歳に近い自分が知っているであろうワータナーの関係者、は………。

「あっ……もしかして………姫、様?」

「ああ。シュナイツ王国第一王女エリーゼ。少なくともリーゼが最も心を許している相手だろう」

「デ、デルマーノ……何で、分かったの?近衛の私だって知らなかったのに……」

「はっ!俺だってバカ共がどこで仲良い、仲悪ぃなんてのは興味ねぇよ。ただ、宮廷魔導師になった時に色々、調べたんだ。俺ゃ、公私は混同しないタイプなんでな」

「でも……どうやって?」

まさか、このデルマーノが直接、本人に聞く訳はないだろう、とアリアは思い、尋ねた。

「女王及び王女、宰相、主要な貴族達の出国記録。またはシュナイツへの王族、貴族の入国記録。そして、出て行った先で誰と会ったか、入って来た奴らが誰と会ったか………それを調べれば大体の人間関係が分かるんだ。ま、公にしているモノ限定だがな。イッヒッヒッ……」

確かに王宮図書館や近衛図書館には出国、入国記録が残っている。
しかし、それらは膨大な量だ。
デルマーノはそれを全部、まとめたと言うのか。

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