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媚薬体質!?
官能リレー小説 - ファンタジー系

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媚薬体質!? 7

「…あぁ、もう! 解ったわよ、解りました。」
 何やら自分を納得させたのか、吹っ切れたように顔を向け、睨んでくる。
「もういいわ、アンタに従うわよ。今回のヤマが終わるまではね。」
 少し頬を染め、続ける。
「き、昨日の…その、あ、アンタがした事も、忘れてやるわよ…だから! アンタも、さっさと忘れなさいよ
ね!」
 そう言ってズンズンと進みだす。その背中を見ながら、ふと少しの微笑ましさと沸き立つ嗜虐心を感じ、ニヤリと笑う。
「あぁ、そうだな。昨日≠フことは忘れよう。」


 街道を更に四半日ほど進む。雨期が近づき、だいぶ昼間が長くなってきたが、そろそろ野営の準備を始めるべき時間だ。真っ赤に変わった太陽が半分ほど沈み、周囲を同じ色に染める中、今夜一晩を過ごす宿営地に到着した。
 町から町、村から村を巡る行商人や、俺のような旅人は安全のため、まとまって寝ることが多い。なので街道沿いには自然と、そうした野営の跡が残るようになり、いつしか宿営地として利用されている。この体質の為に、あまり人の多い所は使えないのだが、一人では身を守るにも心許ないのも事実であり、仕方なく見知らぬ奴らと夜を共にしたことも、けして少なくはないのだ。

「んんーっ……あぁーっ、っ疲れたぁ……」
 昼過ぎに遊んでやってからは、どんどんと先に歩いていたエリカだったが、俺が今日はここで休むことを伝えると、その小さな身体を伸ばし、一息つき始めた。本人の言ったとおりに、吹っ切ってからは殺気も敵意も向けてこなかったが、油断したわけではないので、疲れがたまったのだろう。でなければ、山賊活動をしていた盗賊の彼女が、一日のんびりと歩いた程度で、疲れを見せるはずもないのだから。
(まさか、その程度の体力も無いなんてことは……ない、よな)
 若干、不安を覚えながらも、今夜の準備を始めることにする。タープなんて上等なものは持ってないし、ましてやテントなんて一人旅では必要ない。なので地面に布を敷き、荷物を枕に外套を被って寝ている。エリカにも保釈金代わりに銀貨を渡したので、何かしらの用意はしているだろう。
 石が並べられているだけのカマドの中心に火石を置き、周りに木の枝を並べていく。鉈刀で叩き割ってやれば、小さな火柱を上げ種火が出来上がる。そこに太めの枝を重ねていけば、一晩くらいはもってくれる。

 俺が火を熾している間に、エリカが追加の薪を拾ってくる、どうやらついでに今夜のおかずを獲ってきたらしく、その手には角ウサギが掴まれている。
「どうよ! さっき話してたら妙に食べたくなったから、捕まえてきてやったわよ。いやぁ、まさか本当に
 兎が見つかるなんて、やっと運が戻ってきたみたいね。」

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