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媚薬体質!?
官能リレー小説 - ファンタジー系

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媚薬体質!? 6

 足を止め、エリカの顔を見下ろしながら話す。
「子分はみんな釈放された。お前だって上手くすればまた、数日で自由の身だ。」
 彼女の利点(のみ)を挙げていく。
「紫角竜は確かに危険な魔獣だが、お前ほどの使い手と、それを捕えられる俺となら、決して難しい相手
 では無い。一体どこに不満が有るというんだ…」
 心底不思議そうに、それでいて憐れむような目で見てやる。
「全部に決まってるでしょうが!」
 当然、怒鳴り返してくる。
「そもそもアンタに捕まらなければ、今頃いつも通りに過ごせていたのよ。盗んできた野菜と狩った兎で
 美味しい鍋を作って、ウチの子分らと昼ご飯を食べてるわね。午後になれば、優雅に昼寝と洒落込ん
 でるでしょうね。」
 俺の頭の向こうに、その日々を見てるかの如くどこか遠い目をしている。
「夕方には次の獲物の相談と、得物の手入れをするわ。このコを綺麗に研いであげるのよ。」
 腰から抜いたダガーを向けてくる。
「なのに…なのによ! どうしてアンタなんかと、二人で、無・償・で、竜の相手を、しなくちゃなんないの
 よぉ!!」
 言いたい事を言って、再びわいてきた怒りのままに、ダガーを振りかざしてくる。狙いすら碌に定めず、ただ滅茶苦茶に振り回してるだけなので、当たる気配も無いのだが、放って置くわけにもいかない。
「まったく…「疾風」の名が泣くぞ……」
 媚薬で止めても良いのだが、後が面倒だ。鉈刀を背中の荷物から抜くと、口元が釣り上がる。
「もう一回、立場ってもんを教えてやるよ。」

 逆上してるため、滅茶苦茶だが複雑ではなく、逆に直線的ですらある。腕の動く範囲内での動きだから読むのも簡単だ。振り下ろされるソレに合わせてかち上げ、空いた胸元に踏み込む。左手でダガーを持つ手首を掴んでやり、右手の鉈刀で首を撫でてやる。すると、長年かけて染み込んだ経験か、はたまた生存本能の賜物か、エリカの身体がビクリと震えて止まった。

「どうだ、少しは落ち着いたか?」
 呆れ半分、苛立ち半分で声を掛けてやる。冷えた頭にようやく血が巡ってきたのか、バツの悪そうな、それでいて悔しそうな、複雑な顔をしている。
「…悪かったわね、取り乱して。…みっともなかったわ。」
 自分の痴態を思い出したのか、情けなさそうに話し出す。昨日までは盗賊のボスを務めてた身として、挑発されたとはいえ、我を忘れて暴れだし、しかもあっさりと押さえ込まれたのは、応えたようだ。

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