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聖剣物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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聖剣物語 99

「でもよ〜聖剣ダモクレスの勇者である俺様が頼めば何とかなるんじゃねえ?」
「主殿、私も大陸に来て初めて知りましたが、大陸の人間にとって聖剣は聖剣カシウスであって、ダモクレスはマイナーな扱いなんですよ」
「それって本当かよ!」
ゼノン帝国や西方大陸人にとっての聖剣はカシウスであって、ダモクレスは格下扱いと見なされていたと知りバンはびっくりする。
「人間でゼノン帝国の偉大さを知らない奴を始めてみたよ」
「仕方ないわよ。こいつ馬鹿なんだから」
西方大陸の中心であるゼノン帝国を知らなかったバンをアレイダは珍しそうにみながら、バンに煮え湯を飲まされたアイラはバンの無知振りが可笑しくて仕方なかった。
「ちっこうなったら意地でも聖剣カシウスをゲットして、ゼノン帝国の連中にあっといわせてやるか!」
開き直ったバンは聖剣カシウスを得る決心をする。

翌日、宿場町を発った一行はゼノン帝国の国境まであともう一歩という村まで辿り着いた所で日没を迎えた。
「ラッキー♪ちょうど良い所に村があったぜ。今夜はここに泊まらせてもらうとするか」
「ホッ…野宿にならなくて良かったです」
安堵の溜め息を吐くメリサリム。だがシスカは地図を眺めて首を傾げながら呟いた。
「はて?この地点に村があるなどとは記されていないが…一体どういう事だ?」
「そりゃあ地図が古いんだろう」
アレイダが笑いながら言った。
「いや、そんな事は無い。最新版だ」
「地図に無い村か…妙ね。何だか嫌な予感がするわ」
「うむ、あまり関わり合いにならない方が良いかも知れんな…主殿、ここは避けて通った方が無難ではないでしょうか?」
村へ立ち寄る事に懸念を示すアイラとシスカ。しかしバンは言う。
「ハハハハハ…お前ら考えすぎだって。おおかた小せえ村だから地図職人に見落とされたんだろ。それに例え何があったって、この聖剣の勇者バン・バッカーズ様が即行解決さ!」
「さっすが勇者様♪頼りにしてます」
「私はどっちでも良いけど、まぁ野宿よりは屋根付きの柔らかいベッドの方が良いかなぁ…」
メリサリムとアレイダも賛意を示す。という訳で一行はその小さな村へと足を踏み入れたのであった…。

…だが、不思議な事に村の中は全くの無人だった。
ちなみに今は夕暮れ時…まだ外に人が居て良い時間帯だ。かと言って家々には明かりも灯っていない。
5人は手分けして村内を見て回った後、中央の広場に集まった。
「こりゃ一体どういう事だ?人っ子一人見当たらねぇなんて…」
「廃棄された村…でしょうか?」
「いや、それにしては建物も傷んでないし田畑も綺麗に手入れされている。人は住んでいるようだ…」
「こりゃあ流石に気味が悪いな…」
「やっぱり今からでも遅くないから出た方が良いんじゃない?」
バンは声を張り上げて叫んだ。
「おぉ〜い!!!誰か居ねぇのかぁ〜!!?居るんなら出て来ぉ〜い!!!」
すると次の瞬間、家々の扉が一斉に、だが静かに開いて村人達がぞろぞろと出て来た。
「なぁ〜んだ、ちゃんと人いるじゃねぇかよ…」
だが、村人達の様子はどこかおかしかった。皆、無言、無表情。しかも手に手にカマ、クワ、スキなどの農具を持っている。
「…えっと…俺ら、何か皆さんの気に障るような事…しましたっけ…?」
恐る恐る尋ねるバンに長老と思しき老人が口を開いた。
「旅の冒険者に変装するとはのう…じゃがワシらの目を欺けると思ったら大間違いじゃぞ。この村を探りに来たイヌ共め。武器を捨てて大人しく降伏せよ。なぁに、手荒な真似はせんよ。じゃがあくまで抵抗するというのなら…」
長老がサッと右手を上げると村人達が一行を取り囲んだ。
「ひえぇ…」
メリサリムは震えながらバンにすり寄る。
「あんたら…事情は良く解らねぇが、やろうってんなら容赦しねぇぜ…?」
腰の聖剣に手を伸ばしたバンにシスカが叫んだ。
「お待ちください!彼らは何か勘違いをしているようです!」
続いてアレイダも言う。
「それに私達を殺す意思も無さそうだ。ここは大人しく捕まっても良いんじゃないかねぇ?」
「チッ…解ったよ!好きにしやがれチクショウめ」
バンは聖剣を鞘ごと地面に投げ捨てると、ふてくされたようにその場に座り込んだ。

武装解除された5人は両手を後ろ手に縛られて納屋に閉じ込められた。
納屋の外では男二人が見張りに立ち、内には娘が一人監視役として付く事になった。
「なぁ、俺ら一体どうなるんだ?」
バンは入り口近くの椅子に腰掛けた娘に尋ねた。
長い髪を三つ編みお下げにした14〜15と思しき可愛らしい娘は澄まし顔で答える。
「そんなの知らないわよ。それは司教様がお決めになる事だもの」
「司教だって!?そりゃあ一体どこの教会の司教だ?」
バンは焦った。法皇をブチのめした手前、今しばらくは聖職者との関わり合いは極力避けたい。ヴォル・ヴァドス教団の司教だったら尚マズい。だが娘の口から出たのは驚くべき言葉だった。
「教会?何言ってるの?司教様って言ったら我らがアザトゥス教団の司教様に決まってるじゃない。毎月一回、お供の方を大勢連れてこの村においでになるのよ」
「ア…アザトゥス教団!!?」

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