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聖剣物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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聖剣物語 89

「なんて武器だ…装填中、隙だらけじゃねえか!」
バンはカスターを聖剣の峰で殴り倒した。半ばツッコミだ。
「ぐぅ…っ!?」
カスターは気絶した。
「か…頭がやられたぁ〜!」
「もうこれまでだ!逃げろ野郎共!」
カスターの手下達は蜘蛛の子を散らすように逃げて行く。
バンはエミリアの方へと歩み寄った。
「大丈夫だったか、エミリア?」
「は…はい、腰が抜けて立てませんが何とか…それより私よりも子供達を!」
「おう、そうだな。お前ら、今縄を解いてやるからな」
「ありがとう、バン兄ちゃん!」
「すごかったよなぁ!あっと言う間に悪い奴らを斬り捨てちまってさぁ!」
興奮した面持ちの子供達にバンは言う。
「ハッハッハッ…カスターや倒れた敵共を良〜く見てみな。全員峰打ちだ。誰一人死んじゃいねえよ」
得意気に語るバンにアイラは溜め息混じりに言った。
「ハァ…あんた、こんな状況になってもまだ人を殺さない事にこだわってんの?」
「こだわってる訳じゃねえさ。ただ、殺さずに済むならそれに越した事は無えじゃねえか」
「そんな考えだと、何時か死ぬか後悔するわよ!」
暗殺者として厳しい日々を送っていたアイラにはバンの言葉は甘ちゃんの戯言にしか聞こえず険しく冷ややかな目をしながら、アイラは警告とも取れる苦言を言う。

「主殿、アイラ。取りあえずシスターと子供たちを家に帰しに行きましょう」
「そうですわ。勇者様、アイラさん、口論してる場合じゃないですわよ!」
険悪になりそうなバンとアイラの間にシスカとメリサリムは間に入り場を丸く収めるようとする。
バンとアイラはやや不承であったが、シスターと子供たちが心配なので一応矛を収めた。
「まっここに長居するのは不用よね」
「それもそうだな」
「エミリアさん、法衣の代わりにこれを着なよ」
「あっありがとうございます!」
アレイダは破れた法衣を着てるエミリア自分のマントを羽織らせる。

皆は連れ立って歩き始めた…その時である。
「死ねぇ!!バン・バッカーズ!!」
「カスターッ!!?」
気絶したと思っていたカスターが突如として起き上がり、バンに向かって銃を構えた。
「バン様ぁ!!」
エミリアが咄嗟にバンの前に立ちはだかる。

ズダアァァァンッ

「あ…」
一発の銃声が響き渡り、エミリアはガクッとその場に崩れ落ちた。
「エミリアーッ!!!!」
バンは慌てて彼女の身体を抱き上げる。
「バ…バン様……良かっ…た…」
エミリアはバンの無事な姿を見て少し微笑み、そのまま眠るように瞳を閉じた。彼女の身体からガクンッと力が抜けた。
「シスター…!?」
「ウソ…だよね?」
「イヤ!!死んじゃイヤァーっ!!」
子供達が泣き叫びながらエミリアに駆け寄る。
バンは怒りに身を震わせながらカスターへ目をやる。
「…ヤロウ!!気絶したフリをしてチャンスをうかがってやがったのか!!?」
「ククク…ヒャーッハッハッハッハァ…ッ!!!そうさ!!その通りだ!!俺もテメェに斬られた時死んだと思ったが、まさか峰打ちたぁな…甘ぇんだよ!!聖剣の勇者様が聞いて呆れるぜ!!本当はテメェを殺れれば最高だったんだが…」
「チクショウ…チクショウ…チクショオォーッ!!!!」
バンはカスターに向かって一直線に駆け寄るが早いか、右肩口から左脇腹まで袈裟懸けに斬り付けた。人間の肉を斬った感触が剣を通じて彼の手へと伝わる。
「グアァ…ッ!!!そ…そうだ…最初からそうしてれば…あの女は…死なずに済んだ…あの女を…殺したのは…テメェ…だ…」
そう言うとカスターは息絶えた。
「クソッ!クソッ!クソォッ!!」
バンはカスターの死体に何度も何度も剣を突き立てた。
自分でも気付かぬ内に彼は泣いていた。

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