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聖剣物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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聖剣物語 85

そして、無残に焼け落ちた大聖堂をみた人々はいっそう不安を募らせたのは言うまでもなかった。

「そういえばアレイダ、お前がどっかの姫様だった話を聞いてなかったな?」
「バン、覚えていたのかい?」
「当たり前だろう!仲間の事には興味ムンムンでな」
「仲間とはいえ個人のプライバシーを聞くのは良くないですよ。勇者様!」
宿で寛いでる時、思い出したかのようにバンはアレイダの素性を訊ねてくるが、アレイダが不快に成るんじゃないかと感じたメリサリムは注意する。
「その通りですよ主殿。“親しき仲にも礼儀あり”と言うではありませんか」
「何だよお前ら…分かったよ、分かったよ、俺が悪かった」
シスカにも責められ、バンは気まずそうに頭をポリポリと掻きながら謝る。以前なら逆ギレでもしていた所だろうが、この男も少しは成長というものをするようだ。
アレイダは笑って言った。
「ははは…私は別に気にしちゃいないよ。だいたい別に隠すような事でもないしね」
「そうか?…そうだよなぁ〜」
「勇者様!」「主殿!」
すぐに開き直るバンにすかさず突っ込むメリサリムとシスカ、アイラは「やれやれ」といった風に肩をすくめる。
「…OK、悪い悪い。それでアレイダ、お前は一体何者なのか、良かったら聞かせてもらえるか?」
「良いとも。別に面白い話でもないがね…」
そう前置きしてから、アレイダは己の出自について語り始めた。

「私は南方大陸…あんた達が暗黒大陸と呼ぶ地の、ある魔族の族長の娘として生まれた。族長と言っても他の魔族や人間の村々を束ね、かなり広大な領域を支配していた大領主だった。この西大陸なら一国の国王に匹敵するだろうな」
「マジかよ!?お前の父ちゃんスゲエじゃねえか!」
「ああ、軍事戦略に関して言えば父は天才だったよ。支配領域を祖父の代の十倍に広げたんだ。母は父に征服された村の娘でな、父が見初めて妾にしたんだ。父は好色でな、魔族やエルフや人間の妾が少なくとも三桁はいたよ」
「へぇ〜!へぇ〜!」
バンは心なしか興奮した面持ちだ。
「何だか嬉しそうですね、勇者様」
「おうよ!昼は戦場を駆け巡って敵を打ち破り、夜はベッドで女を抱く…男と生まれたからにはこうありたいもんだぜ!」
まるで少年のように目を輝かせるバン。彼なりの理想像のようなものなのだろう。
シャリ!シャリ!モグモグ!
「あんたって本当に何処までも雄の本能が強い男よね…その内、身体壊すわよ」
本能の赴くままなバンの態度にアイラは皮肉を混じりながらも注意する。

「へっ分かってねえな〜太く短く生きてこそ男なんだよ」
「あんたね〜死んだら終わりなのよ…」
「はっはっは、安心しろ!俺は殺しても死なねえよ!」
「「「…………(何か妙に説得力ある)」」」
アイラの忠告に一笑するバンは『俺は殺しても死なねえよ!』と豪語する。
このバンの傲慢な放言にアイラ、メリサリム、シスカは妙に納得してしまい何も言い返せなかった。
バンのしぶとさを知ってるので、ここは黙ることにしたのである。
「さて、話を続けて良いか?」
「おっ悪いなアレイダ!さっ話を続けてくれ」
「じゃあ、続けるぞ。非常に重い話だがな……」
話を再開するが、アレイダの何時もの大らかな表情は消え去り深刻な物になっていた。

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