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聖剣物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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聖剣物語 84

ミミズのような芋虫のような姿のその子虫は、小さいながらも口の内側には鋭い歯がびっしりと生え揃っていた。
「な…何だ!?その気味の悪い虫は…?」
「ほっほっほ…簡単に言えば呪術を施した肉食蟲じゃ」
「呪術…?」
「こいつは人間の脳内でずっと眠り続ける。そして合図によって目覚め、その人間の脳味噌を内側から喰らい、死に至らしめる…」
説明しながらゲズマはその虫を靴で踏み潰した。ブチュッという嫌な音がして汁が飛び散る。
「頭を内側から?悪趣味にも程がある……ってオイ!ジジイ!テメェまさか…!?」
「ほっほっほ…お察しの通り、お主の頭の中にもおるよ」
「フ…フザケるなぁ!!!取れ!!今すぐに!!!」
「ならばゲズマよ、ワシのために働くか?」
「働く!!何でもする!!だから…!!」
「ならば聖剣の勇者バン・バッカーズを殺せ。まだ遠くには行っていないはずじゃ」
「聖剣の勇者を!?正気か!?」
「正気じゃよ。法王庁を事実上ツブした今、我々の邪魔になる者は聖剣の勇者のみ…」
聖剣の勇者バン・バッカーズを殺せというゲズマの命令に流石のカスターも驚く。
もし、そんな事がばれたらゲズマは今の地位と権勢を失うのは明らかだからであるが、
そんなカスターの言葉をスルーするゲズマは、バン暗殺を実行しなければならない理由を説明する。

「だっだけどよぉ!!相手は聖剣の勇者だろう。盗賊上がりの俺に勝ち目が、ギッギギャあぁぁ!!!ひっ左耳がぁ!!」
バン暗殺を出来ないとカスターは言おうとした瞬間、ゲズマの魔法によってカスターはもう片方の耳を瞬時に切り落とされた。

「ほっほっほ、法王殺しの下手人にしても良いのだぞ」
「わ…わかった…やる…やらせて頂きます!!」
法王殺しの下手人に仕立てると聞き両耳を切り落とされ苦痛な表情ながらもカスターはゲズマの命令に従った。

一方その頃、バン達は法王庁を出て聖都の街まで来ていた。
「フゥ…何とか無事に法王庁を抜け出せたな…」
「何で私達までこんなビクビクしなきゃいけないんですか…」
「まったくだ。まあ主殿の気持ちも解らないでもないが…。それにしても法王の誘いを断った挙げ句にボコるなんて…後で我が国に抗議が行かないか心配だ」

あの後、控えの間に戻ったバンを見た女達は絶句した。バンの右手の甲に血飛沫が飛び散っていたからだ。法王と一対一の会見をしていたはずのバンの手に何故血が?…考え得る答えは一つしか無かった。確かに『法王に言いてえ事がある』と幾度も口にしてはいたが、まさか実力行使に出るとは…。そして一行は文字通り逃げるように法王庁を後にしたのだった。

「バンに何を言っても無駄よ。でも、法王むかつくから愉快だったわ。」
そう言って、アイラはバンたちの前に静かに現れた。
「おっご苦労さん。んで、エミリアに伝言と金を渡してくれたか」
「最後まで渋ってたけど、一宿一飯の恩義と言って渡しておいたわ」
アイラはバンの頼みでエミリアと子供達に聖都を去る伝言と彼女達の為にお金を渡しに行ったのであった。

そして五人は逃げるように聖都を後にした…

聖都を出てしばらくの後、聖都を一望できる小高い丘の上に登った時だった。ふと後ろを振り返って見たアイラが叫んだ。
「あ…っ!!?」
「どした?」
「聖都が…ルーシェア大聖堂が燃えてるわ!!」
何と、壮麗な法王庁の大聖堂から、真っ赤な炎と、もうもうとした黒煙が立ち上っているではないか…。
「い…一体どうして…!?」
「主殿が法王猊下をボコったから…!?」
「いやちょっと待て!!法王を殴って何がどうしたら大聖堂が燃えるんだ!!?」
「バン…お前一体やらかしたんだよ…?」
「えぇ俺のせい!?ねぇ!アレ俺のせいなのぉ!!?」

…その日の夜、一行は事の真相を知った。身分を隠して逗留した小さな村の宿屋で、後から来た旅人に聞いた話によると“法王が何者かに殺害され、法王庁は大混乱に陥った。当初法王庁は市民達に対しては法王の死を隠そうと考えていたが、人の口に戸は立てられぬもの…。事実を知った一部の市民達が武装蜂起して法王庁に雪崩れ込み火が放たれ、500年の歴史を誇る壮麗な大聖堂は無惨にも焼け落ちたという…。

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