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聖剣物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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聖剣物語 77

「いや、ただの当てずっぽうだが…いやな思いをさせたな。わりい…」
このアレイダの驚く表情にバンは地雷を踏んづけたと思ったのか、ぶっきらぼうな態度ながらアレイダに謝る。
「主殿、反省するならばもう少し謙虚にアレイダにちゃんと謝罪して下さい」
「そうですよ。これから法皇様に謁見するのですから」
「そうよ。あんたデリカシー無さ過ぎよ!!」
悪びれない謝るバンの態度にシスカ、メリサリム、アイラは口々にバンを非難する。
「言っちまったもんは仕方ねえだろう!!それにアレイダのことは詳しく知らないんだぞ!!」
シスカたちの非難にバンは逆ギレする。
「まあまあ、気にしてないから安心しな。あたしの身の上は後で詳しく話すよ。今は法王に謁見しないとね!!」

…と、そこにノックの音がして扉が開き、数名の女神官が入って来た。
「おう、ようやく法王様に会えるのか?」
バンが尋ねると女神官達は何やら手に持っていた白い布のような物を差し出して言った。
「法王猊下の御拝謁を賜る前にこちらにお召し替えくださいませ」
「なに?」
手に取って広げてみると金糸の刺繍が施された豪奢な絹の服…それは大陸貴族の一般的な正装だった。メリサリムとシスカにも、それぞれの立場に応じた正装が手渡される。
「なんだ面倒くせえなぁ…このままじゃダメなのか?」
「申し訳ございませんが、その旅姿のままでは…」
メリサリムの聖衣やシスカの鎧姿は言わば略式の礼装で、小国の王や地方領主との謁見ならば許される。しかし彼女達の服も長旅ですっかり汚れていた。このまま謁見に臨むのは少々失礼と言えた。バンに至っては完全に普段着だ。法王の前に出て行った時点で首を跳ねられても文句は言えないレベルである。
「しゃあねぇ、着替えるか…ん?待てよ」
バンはふと気付いて女神官に言った。
「アレイダとアイラはこのままで良いのか?」
「あ、そちらのお二方には猊下の御拝謁を賜る権はございませんので…」
「ほう…つまり法王様は庶民とはお会いにならねえ、同じ部屋の空気を吸う事もまかりならねえ…と、そう解釈して良いんだな?」
「け…決してそのような事は…!」
女神官達は慌てた。バンは手にした礼服を床に捨て、仲間達の方を振り返って言った。
「おい!みんな行こうぜ!こんな所にいても時間の無駄だ!」
「ゆ…勇者様!」
「主殿…!」
「おいおい、私達の事なら気にしなくて良いよ」
「そうよ、あんたは聖剣の勇者として法王様にお会いするっていう大事な役目があるんだから…」
「やかましい!!おい尼さんよぉ!俺ぁ仲間全員と一緒じゃなけりゃあテメェ様の御尊顔を拝し奉ってやらねえと法王に伝えろ!!」
「む…無茶言わないでくださいよぉ…」
女神官達は泣きそうな顔をしている。彼女達が一番可哀想だ。だが普段は女性に優しいバンにも譲れない物があった。

そこに、また扉が開いて新たな人物が現れた。
「ほっほっほ…随分と騒がしいのう。さすがは勇者バン・バッカーズ殿、聞きしに勝る破天荒ぶりじゃわい」
そこには一人の老神官が立っていた。服装から見てかなり高位の者と思われる。いかにも好々爺然とした優しげな笑みを浮かべてはいるが、その瞳の奥には抜け目の無さそうな鋭い眼光が見えた。
「誰だい爺さん?ひょっとしてあんたが法王か?」
「このワシが法王じゃと?ほっほっほ…それをお聞きになったら法王様もさぞかし悔しがるじゃろうのう」
「何だ…違うのか?」
「ワシの名はゲズマと申す。法王様にお仕えする枢機卿の一人じゃ」
「何でぇ法王の手下か…あれ?ゲズマ?…どっかで聞いた覚えがあるぞ。んん〜、どこでだったかなぁ…?」
「ほっほっほ…まあそんな事はどうでも良いではないか。時にバッカーズ殿、話は聞かせてもらった。お仲間もご一緒に法王様にお会い出来るようワシが取り計らって進ぜよう」
「なに!?マジでか?な〜んだ、ゲズマ爺さん話せるじゃねぇかぁ〜!」
バンは笑いながらゲズマの背中をバンバンと叩いた。
「ほっほっほ…」
当のゲズマは穏やかな笑みを浮かべて笑っている。だがその様子を目にしたアレイダとアイラは硬直し、シスカは真っ青になってガクガクと震えだし、メリサリムは泡を吹いて昏倒した所を女神官達に支えられて頭部の強打だけは免れた。
「では法王様にお願いして来るとしよう、ほっほっほ…」
ゲズマは愉快そうに笑いながら部屋を出て行った。
「おう!頼むぜ爺さん!」
ゲズマが出て行くとバンは女達の方を振り返って言った。
「…あれ?お前ら、なに固まってんだ?」
「あ…あんた、いま自分が何したか解ってんの…?」
「はあ?」
恐る恐る尋ねるアイラに首を傾げるバン。ようやく硬直の解けたシスカが半ば叫ぶように言った。
「あ…主殿ぉ!!枢機卿様と言えば法王猊下に次いで教団の主幹を成す御方です!つまりパラム王国の大司教様よりも…いや!国王陛下よりも偉い御方なのですよ!?それを寄りにも寄って“爺さん”呼ばわり…その場で死刑にされても文句言えないレベルですよ!」
「ヘぇ〜、あの爺さんそんな偉いヤツだったのかよ…で、それは聖剣の勇者である俺と比べたらどれくらい下なんだ?」

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