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聖剣物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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聖剣物語 68

「う…うむ…」
「…わかりました…」
アレイダに一括されて渋々納得するシスカとメリサリム。アレイダは言った。
「…まあ、それにしてもだ。無断外泊ってのはいただけないねぇ。私達は同じパーティーメンバーなんだ。余所で一夜を明かすってんなら、せめて一言くらい連絡入れてくれなきゃあ…」
「そ…そうですよねぇ!?やっぱりアレイダさんだってそう思いますよねぇ!?」
「その通りだ!主殿は身勝手過ぎる!明日見付けたらその旨キツ〜く申し伝えねばなるまい!」
シュンとしていたメリサリムとシスカはたちまち活気を取り戻す。
「いやいや、説教なんてして素直に聞き入れるタマかよ。あの風来坊には首輪でも付けて手綱を握っとかなきゃ、すぐにフラフラ〜っと女の尻追い掛けてどっかに行っちまうぜ」
「首輪ですかぁ…想像したら何か可愛いかも♪」
「ハハハ…それはいくらなんでも主殿が可哀想だろう」
女達の談笑はその日の深夜まで終わる事は無かった…。

一方、バンとアイラは…
「うぃっくしっ!!…あぁ〜、風邪かぁ?」
「どうせあんたのお仲間が帰って来ないあんたのグチでも言ってんでしょ」
「ん〜、初めはあいつらの宿に帰るつもりだったんだけどなぁ、帰り道が判らなくなっちまったから…」
そう言いながらポリポリと頭を掻くバン。ここはエミリアと子供達の暮らす教会の一室、二人はエミリアの好意で今夜ここに泊めてもらえる事になったのだ。
「道に迷ったですって?な〜んか怪しいわねぇ…」
「あ!何だよ?疑ってんのか?そんな嘘吐いて俺に何の得があるってんだよ?」
「今夜エミリアさんの寝室に忍び込む気でしょう」
「ギクッ!…で、でも道に迷ったのは本当だぞ」
「はぁ…」
「何だよ!?その溜め息は〜!?」
二人がそんなどうしようもない会話をしていると扉がトントンとノックされて、向こうからエミリアの声がした。
「バン様、アイラ様、夕食の用意が出来ました。どうぞ食堂へおいでくださいませ」
「おぉ!飯かぁ…ナイスタイミング、ちょうど腹減ってたんだよなぁ〜。はぁ〜い!今行きますよぉ〜!」
食事の知らせにバンは意気揚々と返事をする。そんなバンにアイラは小声で言った。
「先に言っとくけど、あんまり期待しない方が良いわよ…」
「はあ?何で?」
「ま、行けば解るわ…」

バンとアイラは食堂にやって来た。白いテーブルクロスのかけられた長テーブルには既に十人前後の子供達が席に着いていた。
「へぇ〜、ずいぶん居るんだなぁ…」
感慨深げにつぶやくバンにエミリアは言った。
「この子達は皆、親が居ないんです」
「そうか、つまりこの教会は孤児院の役割を果たしてるって訳だ」
「はい、でもこの子達はまだ幸せな方なんです。この一般居住区にある他の神殿も同じように身寄りの無い子供達でいっぱいで、収容しきれない子供達は街で乞食をして暮らしています」
「えぇ!?どうして聖都にはそんなに孤児が多いんだよ?」
「法王のせいよ」
その問いに対して答えたのはアイラだった。
「あんたも聞いてるでしょ。この都の異常に厳しい禁令の数々…。違反者は死刑。そのせいで両親を失った孤児が激増してるのよ」
その言葉に子供達が次々と口を開いた。
「私のパパは隠れて外国の文学の本を読んでたのが見付かって、法王庁の人達に連れて行かれちゃったの」
「俺の母ちゃんは育ち盛りの俺と妹に肉を食べさせてやりたいって言っただけなんだ。それなのにカスターっていう神官達が家に来て母ちゃんを連れて行っちまったんだ…」
話を聞いていたバンは、自分でも気付かない内に固く拳を握り締めてつぶやいていた。
「間違ってやがる…こんな事、絶対に間違ってやがる…!」
「バン、落ち着きな…」
アイラに肩に手を置かれ、ハッと我に帰るバン。
「あ、ああ…すまねぇ…」
この場の何とも言えない空気を感じ取ったエミリアはパンッと手を打って皆に言った。
「さぁ、皆さん!お話はこれぐらいにして早く夕食をいただきましょう!せっかくのスープが冷めてしまいますよ!」
「すまねえ。いやな思いをさせたな。さあ食うぞッ!!」
夕食を勧めるシスターの言葉で上手く気持ちを切り替えたバンは早速スプーンを持ってスープを食べようとしたが、
シスターエミリアと子供たちの食事前のお祈りに呆気をとられる。
「「「天の神々、あなたの慈しみに感謝してこの食事をいただきます。ここに用意された食物を祝福し、私達の心と身体を支える糧としてください!」」」
「あんたも祈りな!教会での最低限の礼儀よ!」
そこへ、祈っていたアイラが小声でバンに祈れと注意する。

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