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聖剣物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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聖剣物語 61

「バカ!そういう問題じゃねえ!チクショ〜!こうなりゃ俺も負けちゃいられねえ!エルティアより多くの美女を集めて俺様の俺様による俺様のためのハーレムを作ってやるからなぁ〜!!」
バンは決意の言葉を叫んだ。
「あぁ…また頭が痛くなってきた…」
それを見ていたシスカは再び頭を抱える。メリサリムとキルケもフォローする言葉も無く、もう苦笑いするしか無かった。


「…それじゃあ皆さん、あっしらはこれで失礼いたしやす。ご縁があったらまた会いやしょう」
「皆さん、お元気で!」
大聖堂へと至る中央通りにてキルケとレオはバン一行に別れを告げた。これからエルティアの情報を求めてルーシェアの冒険者ギルドに顔を出してみるという。
「おう!エルティアによろしくな〜」
「キルケさん、レオさん、本当にありがとうございました」
「二人ともお達者で」
「また会おうな〜」

走り去っていく馬車を見送り、バンは振り返って言った。
「さ〜て、それじゃあ俺らも法王さんに会いに行くとすっか〜」

ルーシェアは珍しい事に城壁を持たない街である。簡単な塀があるだけだ。理由は簡単、聖都を攻める国など無いからだ。攻めたらその国は即ち大陸中の国々を敵に回す事となる。法王の権威とはそれ程の物なのだ。
ただこの街の特殊な所はもう一つあって、総本山たる大聖堂や法王庁やその他の役所類のある中央区画が丸ごと塀で囲まれているという点だ。つまり二重の塀に囲まれているという訳だが、これは露骨に聖職者と民衆を隔てる、文字通り“壁”なのだ。この塀を築いたのも現法王で、先の法王の時代までそんな物は無かった…いや、必要無かったと言った方が正しいかも知れない。

塀には等間隔で門が設けられており、バン達一行はその内の一つの門前にやって来た。門扉は開かれているが純白の軍衣の上に白銀の甲冑、その上に更に純白のマントを羽織った番兵が二人並んで立っている。神聖騎士団という法王配下の軍隊である。
「はいはい君達、お勤めごくろーさん。ちょっと通らせてもらうぜ〜」
「こら!待て」
「これより先は一般人が立ち入れる所ではない。寄るな!」
案の定、バン達が門を通ろうとすると番兵達は槍を交叉して行く手を阻んだ。
「フフン…おいテメェら、そんな態度取って良いのかなぁ〜?」
不敵にほくそ笑むバンに対して番兵達は訝しげに首を傾けながら言った。
「はぁ?」
「何を言ってるんだコイツ?」
「えぇい!良ぉ〜く聞けっ!何を隠そうこの俺様は、パラム島のダモクレス神殿で聖剣を抜いた聖剣の勇者、バン・バッカーズ様だ!」
バンは胸を張って名乗った。だが番兵達は全く信じようとしない。
「何だ、ただのバカか…」
「春先は多いんだけどなぁ…この時期は珍しいな」
「ちょっ…待て!嘘じゃないぞ!?本当に聖剣の勇者なんだからな!?」
「勇者様、そのセリフ思いっきり偽物っぽいです…」
思わずつぶやくメリサリム。そもそも一国の支配者にアポ無しで会いに来るのが悪い。だがバンは逆ギレした。
「チクショー!人を虫みてぇに言いやがって!もう怒った!俺の実力を見せてやる!」
と言うが早いか腰の聖剣を抜き放つ。
「主様いけません!彼らを傷付けたら…!」
シスカが叫んだ。
「なぁ〜に、ちょっと峰打ち喰らわせてやるだけだよ!ハアァァ―――ッ!!」
バンは刃筋を寝せたまま思いっきり振りかぶって二人の番兵に斬りかかった。
ところが…

バキイィィンッ

「うおぉぉっ!!?」
剣は見えない壁に阻まれてバンは弾き飛ばされ、おまけに受け身を取り損ねて石畳の地面に激突してしまった。
「これは…魔法障壁か。なるほど、見える壁と見えない壁の二重の防備で安心って訳だ。話には聞いていたが…」
アレイダは感心したように一人ごちる。
「それ知ってたんなら先に言えバカヤローッ!!」
「勇者様、大丈夫ですか?」
メリサリムは心配そうにバンに歩み寄り抱き起こした。
「イテテ…チクショウ、まさかあんな手の込んだ真似してやがるとはなぁ…」
「いや、今回は完全に急に襲い掛かった主様の方が悪いですよ…」
シスカも溜め息混じりに言う。


法王庁に入れてもらえないと判った一行は、ひとまず宿屋を取る事にした。しばらく聖都に滞在する事になりそうだ。
「フンッ!俺は反対だね!今すぐこんな街出て行くし!別に法王なんか会わなくたっていいし!」
「もう、勇者様ぁ…子供じゃないんですから…」
真っ昼間だと言うのに人気も疎らな街の広場で幼児のように拗ねるバンに半ば呆れながらもなだめすかすメリサリム。一方、シスカとアレイダは話し合っていた。
「しかし本当に困った…何とか法王猊下に拝謁を賜る事は出来ないものだろうか…?」
「まあ、一番簡単な方法は市民用の窓口から謁見を申し込んで気長に順番を待つ事かねぇ…何ヶ月かかるか判んないけど…」
それを聞いていたバンは吐き捨てるように言う。
「ケッ!やってられっかよ!何だよ法王法王って…法王に合う事がそんなに重要かってーの!」
「いや、最重要事項ですよ!…というか主様、どちらへ…?」
「安心しろ!ちょっと散歩だ散歩。勝手にいなくなったりなんかしね〜よ」
そう言うとバンは一人あらぬ方向へと歩き始めた。

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