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聖剣物語
官能リレー小説 - ファンタジー系

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聖剣物語 57


バン、メリサリム、シスカ、アレイダの四人は、停車場に停めてあるというキルケの馬車に向かった。
「どれがオッサンの馬車なんだい?」
「あれでさぁ!」
指差す先にあったのは二頭立て幌付きの大型馬車だった。
「お〜い!レオ、今戻ったぞぉ〜」
「あ!お帰りなさぁ〜い」
キルケが呼ぶと馬車の中から一人の青年がひょこっと顔を出した。
「何だ?お前、息子が居たのか」
「ハハハ…息子じゃありやせんよ。こいつはレオポルド…略してレオ。行商人見習いで従者として雇いながら色々と教えてるんでさぁ。レオ、訳あってこの方々を聖都ルーシェアの法王庁まで案内して差し上げる事になった」
「そうですか。初めまして、レオと申します」
レオはバン達に頭を下げた。
「初めまして。私、メリサリムと申します」
「シスカ・スワロウと申す」
「アレイダだ。よろしく」
「どうも皆さん…えっと、そちらの男性の方は…?」
「フッフッフッ…青年、俺の名を聞いて腰抜かすなよ?」
バンはもったいぶって言った。
「俺の名はバン・バッカーズ!パラム島でダモクレスの聖剣を抜いた勇者、バン・バッカーズ様とは俺の事だ!」
「ハハハハハ!あんたがバン・バッカーズだって?うっそだぁ〜」
「な…っ!?お前!何で信じねえんだよ!?」
「だってぇ、バン・バッカーズって言ったら身の丈2メートルはある大男で金髪碧眼の美丈夫だって話ですよ?あんたなんて…」
「2メートル!?金髪!?んな噂、誰が流しやがった!コンチクショーめ!」
憤慨するバンを余所に女達は話し合う。
「…どうやら情報が錯綜しているようですね」
「うむ…必要以上に美化が為されているようだな」
「まあ噂ってのは総じて尾ヒレハヒレが付くもんさ…それにしても今からこんな調子じゃあ、いざ法王やゼノンの皇帝に会った時に信用してもらえるのかねぇ…?」
飾らない素の状態のバンを目の当たりにした者が、その立ち振る舞いから聖剣の勇者を想像するのはいささか困難を伴う。
一方、大衆の興味と想像力という物は、得てして当人の実像を遥かに超えて肥大化していく物だ。
情報伝達の技術が未熟な時代、それが遠隔地であればあるほど尚の事である…。

「レオ、この人は本物のバン・バッカーズだぞ。それにお客様を笑い者にするとはどういう了見だ」
「えっ親方本当なんですか…」
「あっしが節穴だった事あるかい」
「親方、すいません。バッカーズさん、申し訳ありません」
バンを勇者と信じずゲラゲラ笑うレオをキルケは厳しく嗜め。
はっと気づいたレオはバンに謝罪する。
「気にするな。俺も怒りすぎたよ。まあ、噂なんて尾ひれがつくからな」
素直に謝るレオをみて機嫌が治ったバンは、あっさりと許した。

「しかし、おっさんはエルティアと知り合ったんだ?」
「その話は長くなるので、詳しくは馬車に乗り話しましょうや」
キルケが自分の好敵手エルティアの知り合いとなのか興味をもったバンは訊ねようとする。
しかし、話が長くなるからと馬車に乗りながらキルケは説明する事にした。
「それが良いですわね」
「バンと引き分けた男か、面白そうだね」
「うむ、私も旋風のエルティアの武勇伝には興味があるな」
「では、皆さんお乗りください」
バン、メリサリム、シスカ、アレイダ、キルケたちが馬車に乗るとレオは馬車を走らせた。
かくして、バン・バッカーズ一行は目的地の法王庁へ向かった。


ーバッカーズ家邸宅ー

「父さん、兄さんは今どこまで旅をしてるんだろうね」
「あの親不孝者は忘れるんだへーデン!どうせ聖剣探索の任務を忘れて大陸で女遊びをしてるんだろ」
バンが聖剣探索に一条の光明を見出していた頃、バンの故郷パラムにあるバッカーズ家では、弟のへーデンはバンの安否を気にしている。
しかし、父親のクラーズはバンを厄介者のように扱い大陸で遊び惚けてると言い出す。
非常に的を得てる発言である流石は父親である。

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